◇絵でみる需給動向◇
肥育牛価格の前年割れが続いている。米農務省（ＵＳＤＡ）によると、肥育牛 価格（去勢牛、チョイス級、生体重量1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ州）は20 01年10月以降、一貫して前年同月を下回って推移しており、2002年3月も弱含み の相場で推移しており前年同月との比較では8.8％安の72.3ドル／100ポンド（約 214円／kg：1ドル＝134円）となった（左図参照）。 また、牛肉卸売価格（チョイス級、枝肉550〜700ポンド）も11月以降前年を下 回っており、2002年2月は前年同月比6.6％安の121セント／100ポンド（約357円 ／kg）となった。
このように、価格が弱含みで推移しているのは、１頭当たり枝肉重量やと畜頭 数の増加などによる供給増の一方で､内外からの牛肉の需要が減退していること を反映したものとみられる。国内市場で、ホテル・レストラン向け等の需要が伸 び悩む一方、輸出向けでも、アジア諸国向けを中心に前年水準を下回っている。 特に日本向けは、同国での景気の低迷に加え、牛海綿状脳症（BSE）の発生によ る消費者の牛肉離れで需要が大きく減退しており、11月以降前年同月比約30％減 と大幅に落ち込んでいる。さらに、主要市場のひとつであるカナダでは、国内生 産量の増加により米国からの輸入を減らす動きがあるほか、その他の市場につい てもドル高や米国の価格が依然高水準であることなどから、輸出をめぐる環境に はきびしいものがある。 ◇図：国別牛肉輸出量の推移◇ ◇図：枝肉重量の推移◇
一方、３月１日現在の主要7州におけるフィードロット飼養頭数は、前年同月比 1.1％減の991万頭となっている。また、フィードロットへの導入頭数も8月以降前 年水準を下回って推移している。一方で、フィードロットからの出荷頭数は、11 月以降前年同月を上回っており、牛肉供給基盤の縮小を示している。こうしたこ とから、USDAでは、肥育牛価格は強含みに転じ、2002年平均では72〜77ドル／100 ポンド（約213〜227円／kg）近くになるとしている。 ◇図：フィ−ドロットへの導入頭数◇
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