◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省が公表した2001年のブロイラー生産費は、前年比8.6 %増の1羽当たり50.4バーツ(約151円:1バーツ=3円)となり、98年以来3年振 りに前年を上回った。2001年の生産費は1〜3月の間、一時的なひな価格の暴落 などの要因から低水準となったが、4月以降は一貫して99〜2000年を上回り上昇 傾向で推移した。 99年から2年間続いた生産費の低下は、近年の堅調なブロイラー生産を下支え してきただけに、今後も高コスト構造が続くことによる生産農家の負担増を懸 念する向きもある。
2001年の生産費が上昇に転じたのは、大きな比重を占めるひな費および飼 料費がともに上昇したことによる。生産費の内訳を見ると、全体の2割を占める ひな費は、4月以降は前年を上回って推移し、前年比22.4%増の1羽当たり9.7バ ーツ(約29円)と大幅に上昇した。 ◇図:ひな価格の推移◇ また、7割を占める飼料費も、輸入価格の上昇などで同6.5%増の35.6バーツ (約107円)とかなりの程度上昇している。2001年における大豆かすおよび魚粉の 1トン当たりの輸入価格はそれぞれ、前年比16.9%高の9,635バーツ(約2万9千円)、 同25.9%高の23,056バーツ(約6万9千円)と大幅に上昇した。こうしたことから、 育すう用および肥育用の1kg当たりの配合飼料価格は、前年比5.8%高の6.8バーツ (約20円)、同5.9%高の8.8バーツ(約26円)といずれも上昇し、生産費の大き な押上げ要因となった。 ◇図:飼料費の推移◇
2001年は、海外を中心とした力強い鶏肉需要に支えられて、農家販売価格が高水 準で推移したことから、生産農家は高コストにも拘わらず通年で利益を確保した。 しかし、今年の生産費の行方に影響を与える懸念材料として、EU委員会が3月下旬、 欧州での使用が禁止されている抗菌剤がタイ産鶏肉から検出されたことを理由に、 タイ産鶏肉の輸入制限に踏み切ったことが挙げられる。農業協同組合省は生産者に 対し、緊急に当該薬剤の使用禁止の徹底を促しているが、タイ産鶏肉は安全基準が 厳しい欧州にも輸出可能であることを優位点としていることから、今後は生産サイ ドに対し一層の安全性の確保を強いるものと思われる。その結果、飼養管理体制の 強化などに投じるコストが増加することも予想される。 ブロイラーの生産費 資料:タイ農業協同組合省
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