◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、米国のブロイラー業界は輸出相手国による米 国産鶏肉製品の輸出一時停止措置という問題に直面している。この輸出停止は2 つに区分できる。1つは、米国東部数州における低病原性の鳥インフルエンザ発 生によるもので、メキシコ、日本、フィリピンの3カ国が2002年1月から輸入一時 停止を実施した。この場合、発生した州からの鶏肉製品の輸出が制限されている のみで、全体の輸出に与える影響は比較的小さいものとされている。(4月12日 現在、日本が輸入を停止しているのは、メーン州、バージニア州およびノースカ ロライナ州の3州となっている。) もう一方は、ウクライナ、モルドヴァ、ロシアによるもので、米国からの鶏肉 および鶏卵製品の輸入を2002年3月から一時的に停止している。これらの国では、 生産段階での抗生物質やその他の薬剤や加工段階での抗菌性の洗浄液の使用など、 安全性の問題を停止の理由として挙げている。
最大の市場であるロシアによる鶏肉製品の輸入停止が長引けば、米国内のブロ イラー産業に大きな影響を与えるものとみられている。2001年のロシア向けブロ イラー輸出量(可食処理ベース)は、前年比82.6%増の104万5千トンと100万トン 台に達しており、これは、米国のブロイラー輸出の37%のシェアを占める。 2002年1月の米国の輸出量は、26万8千トンと高水準の輸出が行われた前年同月 に比べ、23.4%減の20万5千トンとなった。前年に比べかなり高い水準で推移して きたロシア向けは、0.8%と小幅ながら2000年11月以来14ヵ月ぶりに減少に転じて いる。 冷凍鶏肉の在庫水準は、極めて好調な輸出需要を反映して、2001年1月以降、平 均して前年同月に比べ20%程度低い水準で推移してきたが、2月末現在では、12ヵ 月ぶりに前年同月比6.1%増の32万9千トンとなった。 ◇図:米国のブロイラー輸出量◇
ブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価格)は、2001年は年間を通じて 強含みで推移し、年間平均で前年比5.2%高の59.1セント/ポンド(約175円/ s:1ドル=134円)となったが、2002年に入り弱含みに転じている。ロシ ア向けの輸出停止の価格への落ち込みが懸念されている中で、生産量が前年同期を 上回ったことから第1四半期(1〜3月)は前年同期比5.1%安の56.1セント/ポ ンド(約166円/s)となった。 2002年1月の米国の輸出量は、26万8千トンと高水準の輸出が行われた前年同月に 比べ、23.4%減の20万5千トンとなった。前年に比べかなり高い水準で推移してき たロシア向けは、0.8%と小幅ながら2000年11月以来14ヵ月ぶりに減少に転じてい る。 冷凍鶏肉の在庫水準は、極めて好調な輸出需要を反映して、2001年1月以降、平 均して前年同月に比べ20%程度低い水準で推移してきたが、2月末現在では、12ヵ 月ぶりに前年同月比6.1%増の32万9千トンとなった。 ◇図:冷凍鶏肉在庫の推移◇
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