◇絵でみる需給動向◇
EUでは、毎年2月以降本格的な生乳生産のシーズンを迎える。しかしながら、 乳製品国際市況は2001年のような高騰には沸いておらず、それを反映しEU域内価 格も厳しい状況となっている。3月までの生乳生産が好調とされており、チーズ の需要も比較的強いとされている中、バターと脱脂粉乳の需要が注目される。 ◇図:バターと脱脂粉乳の国際価格の推移◇
脱脂粉乳のEU域内価格は、低迷する国際市況を反映し、前年同月を下回る比 較的低い水準で推移している。そのためEUでは、弱い輸出需要を受け輸出補助金 の引き上げも行われた。また、これまで脱脂粉乳価格が高値であったことにより、 2000年10月以降介入在庫はゼロとなっていたが、3月には政府による脱脂粉乳1万 3,500トンの買い上げが17カ月ぶりに行われた。それにより1月には落ち込みを見 せていた脱脂粉乳の域内価格が、3月には若干の回復傾向を見せた。今シーズン の脱脂粉乳生産が順調に開始されたのも、域内価格が上昇したことによるところ が大きいとの見方もされている。 ZMPによると、2002年の脱脂粉乳の生産は、需要の強い生鮮乳製品とチーズの 生産が増加することにより、減少すると見込んでいる。また、輸出補助金の引き 上げにより輸出も増加、飼料向け脱脂粉乳の需要も回復すると見込んでいること から、域内需給は堅調に推移するとみている。しかし、輸出補助金の段階的な引 き上げを行い、かつオセアニア産乳製品の供給が一段落した3月時点においても、 輸出需要が上向く様相を見せないことから、ZMPの予測どおりに堅調な需給とな るかどうかは難しい状況といえる。 ◇図:脱脂粉乳の在庫量と域内価格の推移◇
バター域内価格については、国際バター価格の安値に示されるように供給が過 剰気味であることを要因として、2001年9月以降前年を下回って推移している。 毎年冬場を底に、夏に向けて上昇傾向となるバターの域内価格であるが、2001年 11月以降前年同月を下回る低い水準で推移しており、3月になってもなお、低 迷している。 ZMPでは、2002年のバターの生産量は、脱脂粉乳生産の減少に伴い前年を下回 るとみている。しかし、バター生産が減少しても、輸出需要、域内需要ともに低 迷していることから、需要には十分に対応できるとしており、在庫量も増加する と見込んでいる。 ◇図:バターの在庫量と域内価格の推移◇
元のページに戻る