◇絵でみる需給動向◇
EU統計局によると、2001年12月時点でのEU15ヵ国の豚飼養頭数は、 前年同期比1.1%減の1億2,291万頭となった。前回調査(2001年6月期)と比較す ると1.7%上回っているものの、傾向としては99年以降の減少傾向が続いている ことが明らかとなった。 ◇図:豚飼養頭数の推移◇
EUにおける飼養頭数減少の最も大きい要因は、昨年2月にイギリスで発生し た口蹄疫の影響である。イギリスの豚飼養頭数は、前年同期比15.5%減の595万 頭となった。豚肉の主要生産国であるフランスやオランダにおいても口蹄疫が発 生したことから、それぞれ同0.4%減の1,592万頭、同2.4%減の1,282万頭となっ た。また、最大の生産国であるドイツについても、同0.9%とわずかながらも減 少しており、これもフランスやオランダで発生した口蹄疫の影響によるものとさ れている。 一方、EU最大の豚肉輸出国であるデンマークの飼養頭数は、牛海綿状脳症(B SE)の影響で需要が牛肉から豚肉にシフトしたことによる好調な輸出を背景に 同6.1%増の1,264万頭とかなりの程度増加した。 各国別の飼養頭数 資料:EU統計局 注:12月時点での飼養頭数
豚の飼養頭数がわずかながらも減少傾向にある中、フランスの政府関係機関で あるフランス食肉ポード(OFIVAL)は、2002年のEUにおける豚の生産者価格は、 前年比20%減と予測している。2001年前半は、BSEの影響により豚の生産者価格 は高値であった。しかし、その高値が豚枝肉価格に反映されたため豚肉消費離れ が進んだこと、豚肉生産が比較的好調であったこと、牛肉消費が少しずつ回復に 向かっていることなどを要因に、2001年後半になると生産者価格は下落し始めた。 2002年は、それほどの強い需要は期待できず、2001年よりさらに下落することが 予測される。 需要の低下により豚の生産者価格が低迷すれば、飼養頭数も一層の減少を示す 可能性も考えられ、今後の価格動向が注目される。
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