EU議会、食品廃棄物規則の制定を要望
家畜疾病のリスク低減を目的とした規制強化を要望
EU議会は3月13日、非食用向け畜産副産物規則(以下「畜産副産物規則」)
案の修正勧告を決定した。その一環として、EU委員会に対し、ケータリング
(配膳)業者から出る残飯など食品廃棄物に関し、
@安全な廃棄を義務付けること、
A飼料利用については、登録された食品廃棄物を承認施設で適正に殺菌処理し
た場合に限り認めること、
を規定する規則の提案を6月30日までに行うよう要望した。食品廃棄物の飼料と
しての不法利用が豚コレラや口蹄疫の発生原因として非難されていることから、
EU議会では、家畜疾病のまん延リスクを低減するため、食品廃棄物に関する規制
強化が必要と判断した。なお、現在既に厳しい管理下で食品廃棄物飼料の利用を
認めている国にあっては、4年間を限度に新規則への移行期間を認めるべきとし
ている。
非食用畜産副産物の適正な処理・利用について定める
畜産副産物規則(案)は、昨年制定された伝達性海綿状脳症(TSE)規則に
次ぐ牛海綿状脳症(BSE)対策の重要法令として位置付けられている。この規
則は、非食用の畜産副産物の適正な処理・利用について定めるものであり、畜産
副産物をリスクに応じて分類し、それぞれの処理、利用方法を規定している。同
規則では、
@ 食用に適した動物から得られたものに限り、飼料・化粧品・医薬品向けへ
利用できること、
A 飼料利用の場合、同種の動物への利用(共食い)は禁止すること、
B 畜産副産物のトレーサビリティ(追跡可能性)を改善すること、
などが規定される予定である。
EU委員会のバーン委員(公衆衛生・消費者保護担当)は、EU議会の本勧告によ
り、畜産副産物規則の制定がさらに遅れることについての懸念を表明した。審議
中の畜産副産物規則は、2000年10月に提案された後、2001年12月に修正提案が行
われており、最終決定まで間もないものと見込まれていた。
食品廃棄物の豚への飼料利用をめぐり調整が必要
一方、食品廃棄物については昨年、豚への飼料利用禁止が合意され、「豚コレ
ラの防疫に関する理事会指令(2001/89/EC)」の下で、2002年11月から施行予
定となっている。特定の条件下に限り食品廃棄物の飼料利用を可とすべきとの今
回の欧州議会の見解・勧告は、この指令と異なるものであるため、調停作業が不
可避となる。バーン委員は、食品廃棄物の家畜への給与は家畜疾病を伝達する危
険性が大きいとして、あくまで飼料利用に反対している。また、豚への給与を継
続することは、既定方針である飼料の品質および完全なトレーサビリティの確保、
さらに共食いの禁止に矛盾することも指摘した。畜産副産物規則案を共同審議し
ている農相理事会では、食品廃棄物は毛皮動物以外の家畜には飼料として給与す
べきでないとの立場である。
なお、BSE対策として、2001年1月から肉骨粉飼料の全家畜への暫定使用禁止措
置が実施されており、その解除に当たっては、まず畜産副産物規則の制定が必要
との声が大きい。規則の制定が遅れれば、肉骨粉飼料の全面使用禁止措置も継続
されるものとみられるが、本件については、6月18日の農相理事会で議論される
予定である。
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