イギリス、食肉等の不正輸入防止策を公表


リスク評価や情報収集、権限の強化などを掲げる

 イギリス環境・食料・農村地域省(DEFRA)は3月28日、食肉やその他
の食品の不正輸入を防止するためのアクションプランを公表した。

 このアクションプランは、ブレア首相、マーガレット・ベケット大臣と農業、
食品、環境および消費者関係団体の代表者との会談後に発表された持続可能な農
業等に関する新政策の一部である。同プランの概要は以下のとおりである。

@ リスク評価の実施

 対策を実施する際に重要なポイントとなる食肉の輸入(個人・商業)がもたら
す危険性を明らかにするため、リスク評価を実施する。これについては、食料お
よび農業に関する政策委員会の提言に基づき、獣疫研究機関による徹底的な食肉
輸入に関するリスク評価が実施されている。5月には結果が判明するとみられる。

A 関係機関の連携強化

 効果的な検査を実施するため、食品やその他の品目の輸入に関係する中央・地
方政府機関の連携を強化する。DEFRAは、動物由来製品の不正輸入の防止・摘発
に関する関係機関の役割、責任および権限を整理した印刷物を提供する。

B 効果的な情報収集

 関係機関の間で、情報の収集強化および共有化が既に実施されている。また、
この問題に関して、第三者で構成されるグループが政府を支援するために設置さ
れることとなった。

C 権限の強化

 関係機関の係官に対して、税関職員と同様に、荷物を検査する権限が2002年4
月から与えられる。

D EU加盟国との連携

 第3国からの他のEU諸国を経由した輸入に関する規則を明らかにし、厳しく執
行するためのEU加盟国との連携

E 広報・宣伝

 イギリスの動植物製品の輸入に関する規則等に関する広報・宣伝を実施する。

F 抑止対策

 乗客および輸入者に対する情報提供を通じて、違法な食品輸入がもたらす結果
(罰則等)を周知。また、リスク評価の結果を考慮して、適正な検査方法や効果
的な罰則を設定する。

G その他の対策
 ・検査犬の試験的な導入(2002年夏までに導入)
 ・コンテナまたはバックに対するX線投射機の利用可能性に関する調査
 ・意図的でない不正輸入に関して、申告を促すための特赦条項または同様の対
  策の導入
 ・輸入禁止に関する注意を喚起するための入国カード修正の検討
 ・不正輸入の摘発に使用できる技術に関する調査

家畜伝染病対策としての効果に期待

 同国では、2000年8月の豚コレラ、2001年2月の口蹄疫(FMD)など、家畜伝染
病が相次いで発生した。特に、昨年のFMD大発生の影響は、畜産業だけでなく観
光業など他産業にも波及し、農村地域に多大な経済的損失をもたらす結果とな
った。

 家畜伝染病の発生原因の1つとして、国外から不正に輸入される食肉やその他
の食品などとの関連が指摘されているだけに、アクションプランに基づき実施
される対策の効果が注目されている。

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