ブラジル、2001年の農業粗生産額は前年比5.5%増


作物部門は記録的な増加も畜産部門はわずかな増加にとどまる

 全国農業連盟(CNA)は先ごろ、ブラジルの2001年における農業粗生産
額(暫定値)を発表した。これによると、作物部門(主要20品目)が前年比8.5
%と記録的な増加となる一方、畜産部門(主要5品目)は1.5%の増加にとどまり、
農業全体としては5.5%の増加となった。


畜産の粗生産額は農業全体の約4割を占める

 品目別の概要についてみると、畜産は、農業の中で極めて重要な地位を占めて
おり、2001年には、その粗生産額が農業全体の約4割を占めた。畜産部門の約5割
を占める牛肉は、生産量が前年比3.0%増の685万トン(枝肉重量ベース)であっ
たが、生産者価格が前年比でほぼ横ばいであったため、粗生産額は生産量と同程
度の2.6%増となった。鶏肉は、生産者価格が下落したものの、生産量が10.4%
増の660万トン(骨付きベース)と過去最大であったため、粗生産額は6.1%増と
なった。鶏肉の増産要因は、トウモロコシ価格の下落と自国通貨の安値傾向によ
り輸出競争力が強まったことから輸出量が大幅に増加したことが大きい。鶏卵は
生産量が3.2%増となったが、生産者価格が3.9%安となったため、粗生産額は
1.3%減となった。豚肉は、畜産5品目の中で唯一、前年比で価格が上昇しており、
その粗生産額は6.7%増と顕著な伸びを示した。

 畜産部門で最も低調だったのは生乳で、生産量が5.0%増の208億リットルと増
加する一方、生乳価格が11.1%安の0.32レアル(約18円:1レアル=57円)/リ
ットルとなったことから、粗生産額は7.3%減となった。


主要穀物の記録的な増産が作物部門の粗生産額の増加に寄与

 作物部門では、主要20品目のうち、粗生産額の規模の大きいものの中で増減が
目立つのは、コーヒー、サトウキビ、オレンジ、大豆などである。国家食糧供給
公社(CONAB)によると、2001年における主要な穀物(油糧種子を含む13品目)
の生産量は、9,831万トンで過去最大となり、こうした記録的な増産が作物部門
の粗生産額の増加に寄与している。

 主要な穀物である大豆とトウモロコシは、作物部門の粗生産額の4割近くを占
めるが、ブラジルの主力輸出産品であるコーヒー、大豆は、前年比15.1%増の3,
722万トンの増産となったことに加え、ドル建ての輸出価格を基準として設定さ
れる生産者価格が、自国通貨の下落による影響で12.1%高の0.37レアル(約21円)
/kgとなったことから、粗生産額は28.5%増と大幅に増加した。一方、トウモロ
コシは、生産量が前年比31.3%増の4,154万トンとなったが、供給過剰により生
産者価格が26.1%安の0.17レアル(約10円)/kgと大幅に下落したことから、粗
生産額は4.5%減となった。

ブラジルの農業粗生産額

資料 : 全国農業連盟(CNA)

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