酪農生産者に団体交渉権を認可        ● 豪 州


酪農生産者に乳業メーカーとの団体交渉権を認可

 豪州消費者自由競争委員会(ACCC)は3月13日、酪農生産者に乳業メー
カーとの団体交渉権を正式に認可することを決定した。これは、豪州では、商業
法(Trade Practices Act)により販売側の団体交渉権が一部例外を除いて厳し
く制限されているため、その取扱いが注目されていた中、昨年10月3日にACCCが
発表した草案に検討を加え、最終決定が行われたものである。当初草案どおり2
005年7月1日までの期限付きながら、酪農生産者はメーカーとの生乳供給契約
の際、価格などの条件について団体で交渉することができることとなる。

 今回の決定についてACCCのフェルス委員長は、当初の草案では団体を形成する
に当たって地域が限定されることに対する酪農生産者の懸念を考慮したものとな
っている。草案では、12の特定の地域をベースに酪農生産者に対して団体交渉権
を認めるものであったが、この最終決定では、「利益を共有する団体」(shared 
community interest)として地域の制限なく交渉団体の形成を認めている。


酪農生産者同士は、交渉団体を形成可能

 交渉単位として、

 @ 農場経営や気候条件が類似する生産者であること。

 A 生乳供給の際に、乳業メーカーの工場に経済的に輸送される距離内で営農
   していること。

 B 特別な原料乳を供給していること。

 以上のうちいずれかの基準を満たす酪農生産者同士は、地域にかかわらず交渉
団体を形成することが可能となった。交渉団体の形成は、当初の草案に比べ相当
に柔軟なものとなっている。

 また同委員長は、酪農生産者に交渉の技能と経験を積ませる機会を与えること
によって、酪農経営が酪農乳業制度改革後の市場環境に順応して行く支援になる
としている。また、これにより、効率的な酪農生産者が生き残ることになるため、
酪農生産収入のウェイトが高い多くの地域社会の経済にも貢献するものとしてい
る。

 なお、ACCCでは、酪農生産者とメーカー双方による交渉が自発的であればある
ほど、消費者価格への悪影響は少なくなるとしている。乳業メーカーは代替可能
な供給源を持ち続けるとともに、生乳処理段階、小売段階両方において競争的状
況に直面し続けるとも見込んでいる。


酪農生産者と乳業メーカーとのアンバランスを是正

 今回の決定に対して、当初の草案については評価しつつも批判的な意見を唱え
ていた豪州酪農生産者連盟(ADFF)のローリー会長は、結果に満足しており、す
べての州の酪農生産者が団体を形成し始めることを期待するとしている。

 連邦政府のトラス農相も、この決定に対して歓迎の意を表明するとともに、酪
農生産者と乳業メーカーとの間の力のアンバランスを是正する手段として、酪農
生産者にも歓迎されることを確信するとしている。

 当初の草案発表から最終決定まで半年近い時間を要したが、メーカーとの交渉
に際して、酪農生産者は十分な交渉力を持つことが予想され、生産者にとって酪
農乳業制度改革後の最も良いニュースという声も上がっている。

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