RMAC、米国向け牛肉輸出枠の配分について勧告 ● 豪 州


米国向けの牛肉輸出枠の輸出業者に対する配分基準について勧告

 食肉諮問協議会(RMAC:食肉産業界の政策決定機関)は、先般、米国向け
の牛肉輸出枠の輸出業者に対する配分基準についてトラス農相に勧告した。この
勧告は、毎年、輸出業者ごとに対米向け、対米向け以外の過去の輸出実績での案
分による輸出枠配分を行うもので、本年から3ヵ年にわたって実施することがう
たわれている。しかしながら、業界内ではこれに反発する意見も残っており、今
後最終調整は、政府の判断にゆだねられる。

 勧告における輸出枠配分に当たっての配分方法は、輸出業者ごとに、1年目は
対米輸出実績の8割にその他の地域への輸出実績の2割を加えた数量とし、2年目、
3年目はそれぞれ、7割と3割、6割と4割にするというものである。


輸出枠配分の調整難航

 米国向け輸出枠を超過すると懸念され始めた昨年末から、パッカーの業界団体
である豪州食肉協議会(AMC)と全国食肉協会(NMA)が中心となり、輸出業者ら
との会議がもたれていた。しかしながら、今年2月に、輸出枠配分の基準を米国
への輸出実績にするか、米国以外も含めた輸出実績にするかで、調整は難航し、
収拾がつかず、現在までに至った経緯がある。

 一方、自社処理加工の牛肉を100%すべて米国へ輸出している業者は、今回の
RMACの勧告が実行された場合、自分達の営業努力に関係なく一律8割の出荷制限
が課せられることになるため、不満をあらわにしており、もしこの勧告どおり
輸出自主規制が実行された場合、独自の行動も辞さないと報道されている。

 昨年末には輸入割当数量超過を懸念するあまり通関を見合わせる動きがあった
ため、年末の数週間供給がストップした。また、割当数量超過による関税の引上
げを起こさないためにも割当数量の管理は米国側のユーザーからも強く求められ
ている。

米国向け牛肉輸出量

資料:MLA
 注:船積みベース

 現在、米国政府は、WTO合意に基づき、牛肉について国別の関税割当を行って
おり、豪州に対しては年間378,214トンの輸入割当数量と輸入枠内関税4.4USセン
ト/kg(約5.9円:1米ドル=134円)を適用しているが、当該割り当て数量を超
過した場合は、一律26.4%の関税率が適用されることとなっている。

 豪州家畜食肉生産者事業団(MLA)の予測によると、米国の良好な輸入価格と
日本の需要の低迷により、米国への牛肉輸出数量は、今後5年間にわたり毎年、
米国の輸入割当数量を超過するとの見方もあり、業界全体の自主的な調整は不可
避のものとなっている。

 トラス農相へこの勧告に関する報告がなされたが、その審議は長引く模様であ
る。

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