新世紀の中国の畜産業、順調なスタート
発展の条件は良好
中国政府農業部は、2001年の中国の畜産業は着実に発展した1年であった
と伝えている。中国政府は、これまで以上に畜産業の発展を重視している。江沢
民総書記は中央経済工作会議上で畜産業をできるだけ早く大産業に発展させるよ
う指示した。地方行政は、畜産業の発展を加速させ、畜産業の構造調整、農家の
増収、農村経済の繁栄を図ることが重要な戦略措置であるとの認識を示している。
畜産は、関連部門からの支持と中国社会の中で注目を集めており、農家の生産に
対する積極性の高まりが見られる。
生産は着実に増加し、利益は全体的としては良好
農業部によると、2001年の年間生産量は前年に比べ食肉が3%、卵が2%、乳製
品が12%増え、配合飼料は8%増えるとされている。主な畜産物価格は前年より
若干上がったものの安定している。豚肉の平均価格は5.5%、牛肉は3.2%、羊肉
は3.3%、鶏卵は1.9%高となり、豚の生体の価格は1kg当たり6元(約95円:1元
=15.9円)前後と高水準ながら比較的安定していた。トウモロコシなど飼料穀物
価格の長期間の上昇に見られるように、飼料原料全体の値上がり幅が畜産物価格
の値上がり幅より大きかったことが影響して、豚、家きん農家の年間所得は前年
より若干下がった。年間を通じて農民1人当たり平均約35元(約556円)の増収と
なり、このうち畜産による配分が40%近くを占めた。畜産業は引き続き生産者の
重要な収入源になると予測される。
畜産物の安全性に注目
畜産物の安全性は中国社会でも注目されており、畜産関係者は畜産物の安全性
に特に重点を置いている。WTOへの加入もあり、畜産物の市場競争力を高め、畜
産業の発展を推進する上での重要な戦略措置として安全性への取り組みが進んで
いる。一部の先進的企業は、産業化された生産活動として安全な畜産生産物を積
極的に進展させ、品質と安全性の確実な保証により、企業経営を発展させている。
今後の課題
しかしながら、畜産業にもまだ問題は残っている。特に草地の悪化傾向に対し
ては、いまだ根本的な対策が講じられていないため、構造調整の一層の進展を待
たなければならず、関係者はさまざまな苦労を抱えている。WTOへの加盟により、
畜産業はまた多くの新しい問題や困難に直面した面もあるが、各部門は現在の大
きなチャンスをうまくつかみ、WTO加盟による挑戦を果敢に迎え入れていくべき
であるとされている。農家の増収を目的として、資源の有効活用や、科学技術を
取り入れるなどして、品質の向上を図り、畜産業の総合生産能力および畜産物の
市場競争力を全体的に向上させ、畜産業の発展に努めることが重要であると考え
られる。
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