豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○フィードロット頭数回復も干ばつの影響を懸念



● ● ● 2002年6月末飼養頭数、91年の調査開始以来2番目に多い水準 ● ● ●

 豪州フィードロット協会(ALFA)は、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共
同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の結果を発表した。
これによると、総飼養頭数は2002年6月末時点で前年同月比6.0%増の73万4,666頭
で、前期(3月末時点)の調査時との比較では12.3%も増加し、91年にこの調査が
始まって以来2番目に高い水準となった。なお、前期の調査では日本での牛海綿状
脳症(BSE)の発生で減少したフィードロット飼養頭数が回復の兆しを示していた。

 フィードロット飼養頭数を州別に前年同月と比較してみると、全国の5割以上を
占めるクインズランド(QLD)州は、増加率では16.7%、頭数では全体の増加分約
8万頭のほぼすべてに相当する約7万9千頭となっている。この増加の主な要因につ
いてMLAは、干ばつの影響により中・小規模のフィードロットへの肥育素牛の導入
が増加したためとしている。また、西オーストラリア(WA)州でも28.2%増加し
ている。

 一方、ビクトリア(VIC)州では、14.0%、ニューサウスウェールズ(NSW)州
では、4.8%、南オーストラリア(SA)州では、3.8%、減少している。SA州の減
少は大規模なフィードロットでの操業縮小を受けたものとされる。

◇図:州別フィードロット飼養頭数の推移◇


● ● ● 干ばつの影響で国内向けが増加傾向 ● ● ●

 また、フィードロット飼養頭数を仕向け先別に見ると、輸出向けが39万7,637頭
で全体の54.1%、国内向けが31万1,203頭で同42.4%となる。3月末との比較では、
輸出向けが9.0%、国内向けが13.3%の増加となっている。輸出向けで、前回大き
く増加した韓国向けは大きな変化がなかったものの、輸出向けの大半を占める日
本向けの10%近い回復(輸出向けに占めるシェアは89.9%)が大きく反映してい
る。

 国内向けの増加傾向は、国内でも最近徐々にフィードロットで飼養され生産さ
れた牛肉が浸透し始めたことを示すものでもあるが、今回の調査結果については、
東部州における干ばつの影響で、放牧飼養が困難となったことが主な要因とされ
ている。

◇図:仕向け先別フィードロット飼養頭数の推移◇


● ● ● フィードロット業界にとって新たな懸念 ● ● ●

 ALFAでは、日本向け飼養頭数の回復基調の継続に期待しつつも、干ばつの飼料
穀物への影響に懸念を表している。現在の飼料穀物の供給と価格の動向は、日本
市場において米国にシェアを奪われた94年の干ばつ時の状況に似てきていると分
析しており、特に「冬穀物(大麦、小麦)の収穫を迎える今年のクリスマス以降
の飼料穀物の確保や価格の動向が不安定要素となる可能性を示唆している。




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