EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○EU委員会、牛肉需給バランスの短期的な回復を予測



 EU委員会は2002年6月、EU15ヵ国における2002〜2009年までの主要畜産物の需給  
に関する中期予測を発表した。牛肉の需給予測に関する概要は、次のとおり。(  
需給予測を行う上での前提条件については、本誌の需給欄の牛乳・乳製品(EU)  
を参照。)


● ● ● 生産量はBSEの関連対策が影響するものの、緩やかに増加 ● ● ●

 EUの2001年の牛肉需給は、2000年末の牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃でEU産牛
肉に対する不安が拡大し、消費が落ち込んだことにより、供給過剰が問題となっ
た。こうした中、EUでは、牛肉の市場隔離や牛肉生産抑制などの需給安定対策(
本誌2001年9月号特別レポート「EUにおける牛海綿状脳症(BSE)対策の強化」参
照)が行われ、それに加えて口蹄疫の清浄化対策等もあり、合せて42万5千トンの
牛肉が廃棄された結果、2001年の実質的な供給量は減少した。しかし、域内の牛
肉価格の回復や廃棄事業等の終了により、2003年および2004年には生産量が増加
すると予測されている。イギリスで行われている30ヵ月齢を超える牛由来の牛肉
の買い上げ廃棄事業(委員会規則716/96)が終了する2004年には、生産量は99年
の水準にまで回復するとみられている。2005年には、牛肉の生産サイクルの影響
により減少するものの、その後2009年までは比較的高い水準で推移すると予測さ
れる。予測の最終年である2009年には、牛肉生産量は2001年と比較して、4.5%増
の778万4千トンになると予測されている。


● ● ● 消費量は2001年を底に徐々に回復 ● ● ●

 2001年の牛肉消費は、2000年末のBSE問題により、前年比7.6%減、99年と比較
すると12%減とかなりの程度減少した。2002年には急速に回復するとみられるも
のの、99年以前の水準までには回復するとは予測されていない。しかし、その後
も徐々に消費量は回復し、2009年には、2001年と比較して、3.9%増の75万4千ト
ンに達するものと予測されている。


● ● ● 輸出は短期的に急速な回復、輸入は中期的に増加 ● ● ●

 EU域外への輸出量は、BSEや口蹄疫の影響により輸出相手国の多くが輸入禁止措
置を取ったため、2000年と2001年は減少した。2002年には回復し、2003年の輸出
量はさらに増加が予測され65万トンに達するものの、2005〜2006年は供給量の伸
び悩みに伴い、52万トン台まで減少すると予測される。その後2007〜2009年は60
万トン台を超え、2003年の水準にまで回復するとみている。

 EU域外からの輸入量は、主要な輸入相手国である南米諸国が口蹄疫発生の影響
で、2001年には減少した。しかし、すでに輸出が再開されている国や今後輸出再
開が見込まれている国もあることから、2002〜2007年までは、中東欧諸国を中心
に輸入の増加が予測されている。

 牛肉需給予測

 資料:EU委員会
 注1:枝肉重量ベース	
 注2:2001年の生産量のうち、425千トンは廃棄された
 注3:生産量には、イギリスで行われている30ヵ月齢を超える牛由来の牛肉の買い
      上げおよび廃棄事業分に係る牛肉は含まれない




元のページに戻る