米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○低下が続く肥育牛価格



● ● ● 8月は前年同月比10.8%安 ● ● ●

 米農務省(USDA)によると、2002年8月の肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生
体重量1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ州)は、前年同月比10.8%安の100ポンド
当たり62.6ドル(1キログラム当たり約164円:1ドル=119円、以下同じ)となっ
た。

 肥育牛価格は、高級牛肉を中心とした内外からの旺盛な需要により、99年2月以
降、一貫して前年を上回ってきたが、2001年10月以降、ほぼ前年水準を下回って
推移している。(左図参照)

● ● ● 枝肉重量の増加などによる供給増が低下要因 ● ● ●

 肥育牛価格の低下は、と畜頭数や1頭当たり枝肉重量の伸びに伴う生産量の増加
によるところが大きい。1〜8月の生産量は、前年同期比4.9%増の822万1千トン、
と畜頭数は同1.2%増、1頭当たり枝肉重量は同3.6%増となった。このところ、肉
牛は安価な飼料穀物を利用して、フィードロットでより長期間肥育される傾向が
続き、1頭当たり枝肉重量は2001年8月以降前年同月を上回って推移していること
からもうかがえる。しかしながら、最近では中西部を中心とした干ばつの発生で、
飼料穀物価格も値上がりしていることから、肥育期間を短縮し、より軽い重量で
早期に出荷する動きも出始めていると見られる。

● ● ● 年平均では、67〜68ドルの見込み ● ● ●

 今後の見通しについて、USDAでは、干ばつの継続や早期出荷により、第3四半期
の生産量を前年同期比5.5%増、第4四半期を同3.1%減、通年を同2.5%増と見込
んでいる。こうした供給の状況などから、肥育牛価格(通年)は、前年比6.5〜7
.9%安の67〜68ドル(176〜178円)と予測されている。なお、今後、ホテル・レ
ストラン向けや輸出市場などの需要が弱まれば、価格はさらに低下するものと見
込まれる。

◇図:枝肉重量の推移◇




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