タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○上半期の鶏肉輸出、伸び率が鈍化



● ● ● 2002年上半期、前年同期比14.9%増に止まる ● ● ●

 タイブロイラー加工輸出協会はこのほど、2002年上半期の鶏肉輸出状況を公表
した。これによると、鶏肉輸出量は前年同期比14.9%増の23万トンと大きく増加
したものの、前年同期の伸び率と比較すると23ポイント、前期(2001年下半期)
との比較では12ポイントとそれぞれ低下し、輸出の減速傾向がうかがわれる。

 上半期の輸出実績を形態別に見ると、全体の7割以上を占める冷凍鶏肉の輸出量
は前年同期比15.8%増の16万9千トン、輸出額では同28.6%増の135億3千バーツ(
約392億4千万円:1バーツ=2.9円)と大きく増加した。また、鶏肉調製品の輸出
量は同12.6%増の6万1千トンとなった。輸出額は、第1四半期には前年同期を下回
っていたが、第2四半期での増加により、上半期全体では同4.0%増の73億1千万円
(約212億円)となった。

 なお、上半期における輸出の伸び率の鈍化を受け、同協会は、今年通年の輸出
見込みを、従来の46万トンから昨年実績(43万8千トン)を下回る42万トンに下方
修正した。輸出量がいまだに前年同期を上回る中で、鶏肉業界からこうした弱気
な見通しが出されたことを考慮すると、下半期における輸出の減速はさらに強ま
る可能性が高い。


● ● ● アジア向け、日本が大幅躍進 ● ● ●

 地域別に見ると、最大の輸出市場であるアジア向けは、前年同期比35.1%増の
16万7千トンと大幅に増加した。これは、最大の輸出相手国である日本向けが同5
7.2%増の13万2千トンと大幅に伸びたことが主因である。アジア全体に占める日
本向けの割合は、前年同期より11ポイント上昇して79%となり、同地域における
日本の存在感が再び強まってきた。

 また、第1四半期において、輸出量が前年同期を下回っていた2位の韓国向けお
よび3位の中国向けは、第2四半期での回復に伴い、それぞれ同0.5%増の1万6千ト
ン、同8.7%増の7千トンといずれも増加に転じ、アジア向けの増大に貢献した。


● ● ● 欧州向け輸出の減少続く ● ● ●

 一方、EUを始めとする欧州向けは、前年同期比16.1%減の6万4千トンと大幅に
減少した。これに伴い、全体に占める欧州向けの割合も、牛海綿状脳症(BSE)な
どの影響で鶏肉需要が大きく高まった前年同期の38%から27%へ大幅に減少して
いる。欧州向け輸出が減少した要因としては、今年3月にEUで使用が禁止されてい
る抗菌剤がタイ産鶏肉から検出されたため、EUが輸入を規制するとともにタイ側
でも欧州向け輸出を一部自主的に制限していることが挙げられる。

 欧州向けを国別に見ると、大手小売業者がタイ産鶏肉の販売継続を表明してい
たイギリスが前年同期比10.5%増の2万2千トンと前年を上回ったほかは、2位のオ
ランダが同20.6%減の2万トン、3位のドイツが同34.7%減の1万9千トンとなって
いる。

◇図:地域別輸出状況◇




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