◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が8月に公表した予測によれば、2002年の乾牧草の生産量は、 前年を2.6%下回る1億5,261万トンと見込まれている。種類別では、アルファルフ ァ(ミックスしたものを含む。以下同じ)が7,464万トンで、前年比7.0%の減少 となった一方で、それ以外の乾牧草については、収穫面積の増加予測から、前年 を2.0%上回るものとみられている。 アルファルファ生産量について、主要州を見てみると、最大の生産州であるカ リフォルニア州では、前年比13.3%の増加が見込まれている一方で、2001年には 第2位であったサウスダコタ州は、前年のほぼ半分にまで減少し、ランキングでも 第7位に転落するものと予測されている。
減少の要因としては、特に中西部以西や東部で発生している干ばつにより(下 図参照)、牧草の生育状況が悪化していることが挙げられる。前述の予測によれ ば、1エーカー当たりの収量は、前年を約4%下回る2.36トン(約5.9トン/ヘクタ ール)と見込まれている。USDAが9月9日に発表した作物生育状況報告によれば、 牧草の状態について、「極めて悪い(Very Poor)」が26%、「悪い(Poor)」が 24%となっており、両者で全体の半分を占めた。昨年同時期には、両者の合計は3 5%に過ぎなかった。
USDAは9月9日、干ばつの広がりに伴う乾牧草の不足などに対応するため、これ まで18州において実施してきた保全留保計画(CRP)(本誌2002年9月号「特別レ ポート」参照)の保護対象農地等における緊急的な牧草地化等の承認を、全国に 拡大することを発表した。今後、土壌中の水分量など、一定の干ばつの要件を満 たした地域については、郡レベルで、これらを実施することが可能となる。USDA は、こうした措置が乾牧草の不足に悩む生産者への一助となることを期待してい る。また、USDAではホーム・ページ上に乾牧草を必要とする生産者のためのサイ ト「Hay Net」を立ち上げ、乾牧草の供給が可能な者との間で、情報交換を可能と する試みを始めた。 9月3日現在の干ばつ状況
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