◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、2001/02年度(7〜6月)の生乳生産量は、主要な 酪農地域で全般的に干ばつもなく天候に恵まれたため、牧草の生育状況も良かっ たことから、前年度比6.9%増の1,126万9千キロリットルとなり、初めて1,100万 キロリットルの大台を超えることとなった。前年度(2000/01年度)には、89/ 90年度以来、11年ぶりに前年度を下回っていた。これは、豪州の酪農生産の中心 地であるビクトリア(VIC)州西部での厳しい干ばつの影響や、飲用乳仕向けが中 心となっているニューサウスウェールズ(NSW)州、クインズランド(QLD)州お よび西オーストラリア(WA)州で、2000年7月に行われた加工原料乳の価格補てん 制度(連邦制度)と飲用向け生乳の最低価格保証制度(各州の制度)が同時に廃 止され、用途を問わずすべての生乳の流通販売を、完全に自由化する酪農乳業制 度の改革により、生産者乳価の下落した地域で離農が進んだことによるものであ った。 ◇図:生乳生産量の推移◇
生乳生産量を州別に見ると、最大の増加率となったのは、タスマニア(TAS)州 であり、前年度比13.9%増の67万1千キロリットルとなった。VIC州では、前年度 比9.2%増の740万5千キロリットルとなり、全体の65.7%を占めた。 南オーストラリア(SA)州、NSW州およびWA州では、年度当初は前年度を下回る生 産量で推移していたが、最終的にはそれぞれ前年度比2.3%増の71万5千キロリッ トル、1.3%増の134万3千キロリットル、1.2%増の39万1千キロリットルとなった。 また、QLD州にあっては、他の州と比べると天候条件に恵まれなかったため、前 年度比2.1%減の74万4千キロリットルとなった。 ◇図:州別年度別生乳生産量◇
また、ADCは、現在NSW州のほぼ全域、QLD州およびWA州の一部において干ばつが 広がっていることから、2002/03年度前半の生乳生産量が減少するものとみてい る。さらに、乳製品の国際価格低迷や、干ばつによる飼料不足に伴う飼料価格の 高騰が、生産抑制に働くため、昨年度のような生産量は見込まれないと予測され ている。
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