◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が先ごろ発表した2002年上半期の乳製品需要動向によると、 2002年1〜6月の乳製品消費量(全乳ベース。政府の国内向け無償給与を除く。以 下同じ)は、前年同期比0.3%減の3,751万トンとなった。このような乳製品消費 量の減少は、実質国内総生産(GDP)成長率が、2002年第1四半期(1〜3月)は、 5.0%と大幅な伸びを示したものの、第2四半期が1.1%とわずかとなったことを反 映している。
多くの乳製品の需要は、景気変動の影響を受けやすいと言われている。好景気 時には高級食材志向が高まり、チーズやバターの需要が増加する傾向が見られる。 2002年上半期の消費量を製品別に見ると、バターについては、同4.3%増の26万 5千トンとなった。また、生乳の5割近くが仕向けられるチーズの消費量について は、チェダ−チーズをはじめとするアメリカンタイプが前年同期並み、モッツア レラチーズに代表されるイタリアンタイプ等のその他のものが0.2%程度の増加と なり、チーズ全体では0.1%増とレストラン等外食向け需要の落ち込みを反映して、 その伸び率は最近では最も低いものとなった。 一方、97年以降おおむね減少傾向が続いていた脱脂粉乳は、2001年には大幅に 消費を伸ばしたものの、今期は主に業務用の不振から、前年同期比33.6%減の13 万1千トンと、再び減少に転じた。脱脂粉乳など無脂乳固形分の需要は、90年代前 半、消費者の低脂肪し好の高まりから、飲用乳やアイスクリームなどへの原料用 を中心に需要が急増した。しかし、こうした「低脂肪」ブームの沈静化に伴い、 無脂肪固形分の需要は縮小しているものと見られる。 ◇図:GDPと乳製品消費量と増減率◇
USDAでは、2002年通年での牛乳乳製品消費量について、GDP成長率で2.4%増と の予測に従い、景気は今後上向くとの前提から、1.9%増と伸び率はわずかながら、 7,833万トンと引き続き増加傾向で推移すると予測している。 ◇図:牛乳・乳製品消費量の推移◇
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