第1四半期の畜産物生産者価格、大幅に下落  ● E U 


牛はかなりの上昇、豚や家きんは下落

 EU統計局(EUROSTAT)は先般、2002年第1四半期(1〜3月)におけるEU15カ国
の農産物生産者価格(速報値)を公表した。

 これによると、名目農産物生産者価格は、前年同期比4.2%高となり、2000年
の第2四半期から8期連続でプラスとなった。物価上昇分を差し引いた実質農産物
生産者価格では2.2%高と、2001年第4四半期から1.9ポイント上昇したものの、
品目間での格差は拡大している。

 実質農産物価格について品目別に見ると、畜産物は同6.6%安と、2001年の第
4四半期から2期連続でマイナスとなった。しかし、子牛、成牛価格は、牛海綿状
脳症(BSE)問題の影響で落ち込んでいた牛肉消費の回復に伴い、前年同期に比
べてそれぞれ7.1%高、6.7%高とかなり顕著な上昇を示した。

  対照的に、牛肉の代替需要の落ち着いた他品目(畜種)の価格は低迷している。
前年同期の価格がBSEに加えてイギリスでの口蹄疫(FMD)発生に伴う肉豚出荷量
の減少などで高い水準にあった豚は、21.2%安と大幅な低下となった。また、域
外からの輸入が増加している家きん(卵を除く)は、同12.8%安と低下した。馬、
ウサギなどのその他の畜産物も25.6%安となった。

生産増加とチーズ生産の停滞を要因に、生乳はマイナスに転じる

  これらの低下に加えて、畜産物の生産額の3割以上を占める生乳の価格がマイ
ナスに転じたことも、畜産物全体の価格低下に拍車をかけている。生乳価格は、
チーズ生産の増加などを背景に、2000年第3四半期以降、前年を上回って推移し
てきた。しかし、2002年に入ると、生乳生産クオータの増枠などで生乳出荷量
が増加する一方で、チーズ生産が伸び悩むなど、生乳需給は緩和局面にある。
この結果、2002年第1四半期の生乳価格は、同1.8%安と6期ぶりにマイナスに転
じた。

  一方、耕種作物は、野菜、果物などの価格上昇から、同11.0%高となった。
この耕種作物価格の上昇が、畜産物価格の低下を補い、結果として農産物全体
の価格をプラスに維持することにつながっている。
実質農産物生産者価格の増減(前年同期比)





元のページに戻る