ブラジル、全国規模の口蹄疫撲滅計画を展開
2005年までの口蹄疫撲滅が目標
ブラジル農務省は、2005年までの口蹄疫撲滅を目指し、全国を南部、中西部、
東部、北部、及び北東部の5畜産圏に分割した口蹄疫撲滅計画を展開している。
ブラジル農務省によると、同国では、1965年、口蹄疫のコントロールを主目的
とした口蹄疫対策が南部のリオグランデドスル州を皮切りに、その後、南部や中
西部など各州で実施された。また、68年〜82年には、米州開発銀行(IDB)の融資
を受けた全国規模の口蹄疫対策が、87年以降は、国際復興開発銀行(IBRD)の融
資を受けた家畜疾病管理計画がそれぞれ実施された。
1992年には、ブラジル農務省、各州農務局、肉牛生産部門の代表などがパンア
メリカン口蹄疫センターの協力の下、家畜疾病管理計画の見直しを行った。これ
により、2005年までの口蹄疫撲滅を目標とし、全国を前述の5畜産圏に分割した上
で、各圏ごとに衛生ステータスの向上を図る口蹄疫撲滅計画が具体化された。
ワクチン接種の義務付けにより、各州を順次清浄地域に認定
同計画の実施に当たり、その柱となる口蹄疫ワクチン接種については、ブラジ
ル農務省布告第121号(1993年3月29日付け)により、2歳以上の牛および水牛に対
しては年1回、2歳未満の牛および水牛に対しては、生後4ヵ月に達するまでに第1回、
その3ヵ月後に第2回、その後、2歳に達するまでは6ヵ月ごとに接種を行うことが
義務付けられている。
ブラジル農務省は、この計画の第1段階として、前述のワクチン接種キャンペー
ンを畜産農家の技術水準が高く比較的経営基盤が安定しているとされる南部から
実施し、次いで中西部、東部へと拡大した。この結果、これまで国際獣疫事務局
(OIE)で、@98年に南部2州(サンタカタリナ、リオグランデドスル)が、
A2000年に南部・中西部の1連邦区と5州(ブラジリア連邦区、ゴイアス、サンパ
ウロ、マットグロッソ、ミナスジェライス、パラナ)が、B2001年に東部・中西
部の6州(リオデジャネイロ、エスピリトサント、バイア、セルジッペ、トカンチ
ンス、マットグロッソドスル)が、それぞれワクチン接種清浄地域に認定されて
いる。なお、ブラジル農務省は2000年5月、南部2州でワクチン接種の中止に踏み
切ったものの、同年8月にリオグランデドスル州で口蹄疫が発生したため、南部2
州のワクチン接種清浄地域のステータスは留保されている。
ブラジル農務省によると、現在、OIEにより認定を受けている同国の口蹄疫清
浄地域の総面積は全土の約4割を占め、同地域内で飼養されている牛および水牛
の頭数は全体の約7割に相当する。さらに、同省では、北部のロンドニア州を今
年末か来年に、同じ北部のパラ州を来年末頃までに、OIEに対しワクチン接種清
浄地域として申請する意向であるとしている。
ブラジルの大手調査会社の統計では、全国の牛および水牛の全飼養頭数に占め
る口蹄疫ワクチン接種頭数の割合は1994年の65%から2001年には90%を超えるま
でに増加し、同期間における全国の口蹄疫発生件数は2,093件から37件へと大幅
に減少している。
OIEの口蹄疫委員会をブラジルで開催、撲滅への取り組みをアピールする好機
また、ブラジル農務省プレスリリース(7月18日付け)によると、同国リオデ
ジャネイロ州ドゥーケデカシアス市にあるパンアメリカン口蹄疫センターで今年
11月25日〜12月6日、OIEの口蹄疫その他疾病委員会が開催される。これは、同委
員会がOIEのパリ本部以外で開催される初めてのケースであるという。同委員会
の開催が、ブラジルにおける口蹄疫撲滅への取り組みを国外にアピールする好機
ととらえられている中で、同国の口蹄疫清浄地域拡大に向けた動きが注目される
ところである。
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