NSW州政府、広がる干ばつへの対応強化 ● 豪 州
NSW農業省、家畜搬出、農業用水運搬への助成金交付などを追加
ニューサウスウエールズ(NSW)州農業省は8月26日、農畜産業への干ばつによ
る被害拡大について、その対応策を発表した。今回発表された新たな支援対策は
次の通り。
○ 家畜搬出費の50%助成:干ばつの影響により飼養が困難となった農場から
の家畜搬出費用の50%を助成
○ 農業用水運搬費助成:遠隔地にある(isolated)農場への5,000豪ドル
(約32万5,000円)を上限とした農業用水の運搬費助成
○ 地域経営コンサルタントサービスへの追加助成:最も被害の大きかった地
域の金融コンサルタントサービスへ各地域25,000豪ドル(約165万2,000円)
を上限とした追加助成(後述「その他」参照)
○ 借入金返済を一時的に繰り延べ:NSW州地域支援局(自然災害が発生した
場合、被害を受けた生産者に対する支援措置を行う機関)は、干ばつの結
果、一時的に返済不能に陥った貸し出し案件について、一時的な繰り延べ
を検討
○ ホットラインの設置: 1,800本の電話回線を設置、1日12時間・無休体制
で干ばつに関する照会に対応
今回の強化策に先立ち、対応マニュアル普及などの対策をHPで発表
同省では、上記の支援対策に先立ち、同省のウェブサイト上で干ばつに対す
る支援措置をすでに公開していたが、その概要は、次の通りである。
○ 干ばつ対応講習会の開催:干ばつ時の農場経営、動物愛護、家畜飼養管理、
農地保全について、同州内20ヵ所で生産者を対象に講習会を開催
○ 地域集会の開催:同省職員が州内7農業地域における干ばつの最新情報を
地域集会で提供
○ 小規模農家に対する指導:干ばつ時の経営管理に関する指導
○ 干ばつに関するウェブサイトの作成:干ばつ最新情報を同省ホームページ
で提供
○ 干ばつ対応マニュアル:干ばつ時の対応マニュアルを作成して配布。94年
から96年にかけて発生した干ばつ時には、農畜産物に大きな被害をもたら
しただけでなく、通常飼料として使用しない購入粗飼料を給じしたため、
一部の牛肉で残留農薬問題の原因となったことから同省は、干ばつ時の対
処方法をマニュアル化し、生産者に広く普及するとともに、これに基づく
正しい対応を呼び掛けている。
○ 農業関連企業向けの集会の開催:農業関連企業向けに関連情報を提供
○ 農業気象学チームの編成:NSW州中東部タムワースに気象観測チームを設
置し、気象情報を提供
○ アドバイザリー・スタッフの配置:干ばつへの対応に関する助言を行う要
員を100人以上確保
○ その他:毎年100万豪ドル(約6,500万円:1豪ドル=65円)を地域経営コン
サルタントサービスへ補助し、無償で生産者に対する農場経営相談を実施
飼料価格高騰で家畜の搬入が増加
現在、豪州では、異常気象を引き起こすとされるエルニーニョ現象の発生によ
り豪州北部及び東部(主にクィンズランド州中部、NSW州ほぼ全域)において降
雨量の減少、乾燥状況が伝えられており、近年で最悪とされた94年から96年に発
生した干ばつに類似した状況になっているとされている。すでに放牧草地の草不
足を懸念して、干ばつ時に補助的飼料として用いられる乾牧草や穀物の価格が高
騰しており、コスト増から家畜を販売する動きが活発となっている。ビクトリア
州のワドンガ生体市場では、干ばつの激しいNSW州からの家畜の搬入が増加し、7、
8月の取引頭数の合計は前年同期比125%の増加となった。
参考:NSW州農業省ウェブサイト
(http://www.agric.nsw.gov.au/)
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