◇絵でみる需給動向◇
タイ・ブロイラー加工輸出協会が公表した、2002年の鶏肉および鶏肉調製品 の輸出実績によれば、冷凍鶏肉の輸出量は、前年比5.0%増の約33万7千トン、 鶏肉調製品の輸出量は、同8.9%増の約12万4千トンとなった。同協会は、2002 年3月にEUでタイ産鶏肉に残留薬剤が検出されたのを受けて、1月に公表した20 02年の輸出見込み数量を冷凍鶏肉について約9%(約3万トン)、調製品につい て約8%(約1万トン)下方修正したが、EU向け以外の増加により、前年を上回 る輸出実績となった。 輸出実績を金額で見ると、冷凍鶏肉が前年比2.4%増の245億9千万バーツ (約688億5千万円:1バーツ=2.8円)、調製品が同6.8%増の162億2千万バー ツ(約454億2千万円)となっており、いずれも前年を上回った。しかし、残留 薬剤問題から一時前月比で30%を超える価格下落が生じたことも影響して、い ずれも数量の増加率を下回った。
国別に見ると、冷凍鶏肉は日本向けが前年比19.6%増の19万4千トンと大幅 に増加したのに対し、EU向けは同19.6%減の7万9千トンと大幅に減少した。鶏 肉調製品は、日本向けが同26.1%増の6万6千トン、EU向けは同1.8%増の5万1 千トンといずれも増加している。調製品のEU向けが減少していないのは、残留 薬剤問題の発生後、イギリスの小売業界がいち早くタイ産鶏肉に対するサポー トを表明したため、イギリスの輸入量が前年比38.4%増の2万9千トンとなって おり、それぞれ同38.8%、23.4%の減少となったフランスとオランダの減少分 を埋め合わせたことによるものとみられる。国別のシェアを見ると、冷凍鶏肉、 調製品ともに日本の占める割合が高まっており、前年と比較すると、冷凍鶏肉 で7ポイント上昇して57.2%、調製品でも同じく7ポイント上昇して51.9%とな った。日本向けは、牛海綿状脳症(BSE)の影響で鶏肉に代替需要が発生した とみられる2001年末以降、中国など主要競争相手国における衛生上の問題等も あって、極めて大幅な増加を示してきた。2002年1月の日本向け輸出量は前年 同月の2倍を超える大幅な増加となったが、その後徐々に低下し、2002年第4四 半期には前年同期を下回る水準となった。
タイ・ブロイラー加工輸出協会による2003年の輸出予想は、冷凍鶏肉が前年 比11%減の30万トン、調製品が同26%増の16万トンとなっている。冷凍鶏肉は、 2002年の日本向け増加分である約3万2千トンをそっくり差し引いたものと同程 度の水準となっており、日本向けの月別平均輸出量を1万3千トン程度と見込ん だものとなっている。これに対し、調製品は、EU向けの2001年の水準に回復し ても、これだけでは到底達成不可能な数字であり、日本向けのさらなる増加と 中国など新たな市場開拓を見込んだ野心的な見込みとなっている。 ◇図:農家出荷価格と初生ひな価格の推移◇ ◇図:農家出荷価格と初生ひな価格の推移◇
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