◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2002年のブロイラー輸出量(可食処理ベース) は、前年比13.6%減の217万7千トンとなり、4年ぶりに前年を下回った。中で も最大の輸出先であるロシア向けは、前年比34.0%減の69万トンと大幅に減少 し、シェアは31.7%となった。その他の主要な輸出先については、カナダが前 年比8.0%増の8万7千トンと前年を上回ったほかは、香港が前年比18.5%減の2 7万6千トン、メキシコが同14.8%減の14万7千トン、日本が同48.7%減の5万5 千トンと主要市場において、前年比で2ケタ台の減少となった。
輸出量が前年を大きく下回った要因は、ロシアが衛生問題に係る輸入を制限 したことや米国各地で発生している鳥インフルエンザやニューカッスル病など の家きんの伝染病により、輸出相手先が断続的に、輸入を全面的にまたは一部 規制したことが大きい。さらに、ブラジルやタイといったブロイラー輸出国と の競合も影響したと見られる。 ◇図:ブロイラーひなふ化羽数(対前年増減率)◇
最大の輸出先であるロシアは、2003年5月1日から、関税割当制度を導入する としている。この関税割当は、ロシア国内のブロイラー産業を保護し、拡大す ることが目的であり、割当対象となる数量は、74万4千トンとなっている。す べての家きん肉を対象とすることから、七面鳥製品も含まれる。 ロシアは、また、米国のブロイラー加工処理工場に対する輸出認定手続きを 進めている。認定されていない工場からの輸出は認められず、現在まで手続き が終了した工場数はごくわずかとされている。 メキシコについては、2003年1月から北米自由貿易協定(NAFTA)に基づき、 米国産鶏肉製品に対する関税を撤廃したものの、もも肉についてのみNAFTAセ ーフガードに基づく関税措置が維持されることとなった。 さらに中国は、鶏肉の輸出時の表示に係る変更を要求しており、その最終期 限を2003年4月1日と定め、以降は新たな表示に従っていないものについての通 関を拒否するとしている。 2003年の輸出量についてUSDAでは、減少に転じた2002年の水準から回復し、 前年に比べ9.4%増の238万1千トンと見込んでいるものの、こうした各国の新 たな輸入制度がどのように影響するのか注目される。 ◇図:輸出相手別シェア(2002年1〜11月)◇
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