豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○安価なPB牛乳に傾注する豪州の牛乳消費


● ● ● 牛乳消費はわずかに減少 ● ● ●

 豪州酪農庁(ADC)によると、2001/02年度(7〜6月)の飲用牛乳等の総消
費量は、前年度比0.2%減の1,916千キロリットルとなった。豪州における牛乳
消費量は、79/80年度以降96/97年度まで一貫して増加してきたが、97/98年
度にはわずかに減少し、その後は増加したものの、2000/01年度、2001/02年
度と2年連続で減少することとなった。

◇図:飲用牛乳等の消費量の推移(種類別)◇


● ● ● 脂肪率1%未満タイプが人気 ● ● ●

 飲用牛乳等の全体の消費が減少する中、2001/02年度の消費量を種類別に見
ると、普通牛乳は前年度比0.5%減となったが、脂肪率1〜2%(Reduced)や同
1%未満(Low Fat)の低脂肪乳はそれぞれ1.1%増、15.1%と増となった。こ
うした傾向は、近年に見られるもので、消費者の健康志向が乳脂肪分を敬遠さ
せていると思われる。ADCによると、乳業メーカーの間で、脂肪分の調整やビ
タミン、ミネラルの添加など、さまざまなタイプの乳飲料の開発競争が行われ
ているとしている。


● ● ● ブランド商品離れが顕著 ● ● ●

 スーパーマーケットにおける牛乳販売量は全体の4〜5割を占めるが、2001/
02年度の同販売量は前年度比2.2%増の1,035千キロリットルとなった。このう
ち50.8%が乳業メーカーのブランド商品、49.2%がスーパーマーケットなどの
プライベートブランド(PB)商品かノーブランド商品であった。これに対して、
97/98年度のスーパーマーケットにおける販売量は85万8千キロリットル、こ
のうちブランド商品が81.9%、PB商品などが18.1%であった。ここ5年間でブ
ランド商品は25%減少しており、PB商品などは3倍以上増加している。

 また、両者の価格を見ると、ブランド商品の価格はPB商品などと比べて高値
となっている。近年、価格差は広がっており、最近5年間において、ブランド
商品のスーパーマーケットにおける小売価格は24.0%高となっている一方で、
PB商品などは7.8%高にとどまっている。

 豪州においても、日本と同様、飲用牛乳等の消費の減少が問題となっており、
ADCでは牛乳の健康における有益性を唱えたさまざまなキャンペーンを行って
いる。今回ADCが発表した資料は、乳脂肪低減やカルシウム強化などの健康食
品としての牛乳の役割が重要である一方で、価格も重要な購入動機であること
を改めて裏付けるものであったといえる。

◇図:スーパーマーケットにおける牛乳販売量と小売価格◇

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