◇絵でみる需給動向◇
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2002年におけるEU15カ国の 豚のと畜頭数は、前年比0.6%増の2億115万8千頭とわずかに増加した。 EUのと畜動向は、98〜99年にかけての価格暴落によりと畜頭数が増加し、飼 育頭数の減少が一時的に見られたが、その後は好調なEU経済を背景とする活発 な域内需要を受けて、おおむね増加傾向で推移した。2000年8月には、イギリ スで豚コレラが、2001年2月には、同国で口蹄疫がそれぞれ発生し、またアイ ルランド、オランダ、フランスにおいても口蹄疫が発生したことにより、EU域 内の家畜の移動が制限され、これらの国では2001年はと畜頭数が減少した。一 方、デンマーク、スペインなどでは、牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃による 牛肉からの代替需要や、域内価格が堅調に推移したことなどにより、と畜頭数 は増加したが、EU全体では2.1%減となった。
2002年は、ドイツ、スペイン、フランス、デンマークなどの主要な豚肉生産 国でと畜頭数が増加している。前年を下回った国は、オランダ、イギリス、ベ ルギーであり、口蹄疫の影響で大幅な減少を示した2001年のと畜頭数をさらに 下回る予測となっている。2003年のと畜頭数については、EU15カ国全体では、 前年同期比0.2%減の2億82万頭と見られている。オランダ、イギリス、ベルギ ーについては、引き続き減少すると見られている。
口蹄疫については、いずれの発生国においても、国際獣疫事務局(OIE)か ら口蹄疫清浄国として認められている。日本向けの輸出については、オランダ、 アイルランド、フランスはすでにわが国と家畜衛生条件に合意しており、事実 上輸入解禁となっている。イギリスについては現在その手続きを進めていると ころである。これらの国の日本向け輸出数は、わずかではあるが、需要増の要 因の1つである。 各国別豚と畜頭数推移 資料:ZMP
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