◇絵でみる需給動向◇
豪州統計局 (ABS)による肉牛のと畜頭数をみると、2002年4月以降、おお むね前年同月を上回って推移している。特に2002年9月〜2003年2月の間は、 前年同月を10%以上上回る水準でと畜されており、長引く干ばつの影響によ る飼料の高騰などでさらにと畜が進んだと思われる。5月のと畜頭数は、前年 同月比8.8%減の720.5千頭となった。また、1頭当たりの枝肉重量は、2002年 10月以降前年同月をやや下回って推移しており、飼料の高騰は肥育状態にも 影響を与えている。
と畜頭数の増加の影響は、肉牛の生産者販売価格にも顕著に表れている。豪州 国内向けが中心のニューサウスウエールズ(NSW)州若齢牛、日本向けが中心のク インズランド(QLD)州肥育牛、米国向けが中心のQLD州経産牛の価格は、2002年 4月〜2003年2月の間は、前年同月をかなり下回って推移した(図1)。4月以降は、 輸出向けの肉牛価格が前年同月を上回っている。特に日本向け中心のQLD州肥育牛 の価格は、6月までの間前年同月をかなり上回っている。日本向けは、国内向けや 米国向けに比べて牛が大型であり、飼料が高値で推移している現状では採算が合 わないため、供給量が減少していると予想される。
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資料:MLA「Meat and Livestock Weekly」 |
豪州農業資源経済局(ABARE)が最近公表した予測によると、2003/04年度(7 月〜6月)の肉牛価格は、前年度の1キロ当たり平均258豪セントより9.3%高い 同282豪セントになると予測している(図2)。これは干ばつの影響で急激に減少 した頭数を回復させるため、と畜頭数が少なくなるとみているためである。また、 日本向け肉牛価格も同様に、牛群の再構築が計られるため、前年度より5.2%高い 同301セントと予測している。 しかしながら、この予測は春に牧草が育つために充分な降雨があると想定した 場合の数値であるため、さらに干ばつが長引くようであれば肉牛価格は予測ほど 上昇しないと思われる。
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資料:ABARE「 Australian commodities」 注:02/03は推定値、03/04は予測値 |
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