タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2003年前半のブロイラー生産費動向


● ● ● 生産費の動向 ● ● ●

 タイ農業協同組合省によると、2003年3月のブロイラー生産費は前年同月比
14%安の1羽当たり44.5バーツ(129円:1バーツ=2.9円)となり、2002年3月
以降低下を続けている。生産費におよぼす影響が大きい飼料費とひな費につ
いて見ると、飼料費については2001年6月以降1羽当たり36バーツ(104円)前
後で推移し、2002年10月〜12月にかけて一時的に34バーツ(99円)まで低下し
たが、2003年に入って再び36バーツ(104円)台となっている。

 ひな費は2002年3月以降生産調整によるふ化羽数の減少の影響から一時的な
上昇は見られたものの、下落を続けた。2002年当初には1羽当たり10バーツ
(29円)を超えていたが、2003年3月には3.8バーツ(11円)にまで下落してい
る。ただし、3月のひなふ化羽数は前月に比べ3%増加の8千5百万羽と増加に転
じており、その後の世界的な需要のため増加が見込まれる。
ブロイラー生産費の動向
資料:タイ農業省農業経済

● ● ● 農家収益の動向 ● ● ●

 2002年の4月以降農家販売価格から生産費を差し引いた農家収益は低迷を続け
ている。ひな価格が下落傾向にあるため生産費は低水準で抑えられているものの、
同時に農家販売価格もキログラム当たり21〜22バーツ(61〜64円)と低い水準で
推移している。昨年末に一時的に収益は黒字になったものの、年明け後は、再び
赤字に転落じ、3月現在ではキログラム当たり0.7バーツ(2円)の損失となって
いる。 
農家収益(農家販売価格-生産費)
資料:タイ農業協同組合省

● ● ● 飼料価格は下落の予測 ● ● ●

 タイ家畜飼料協会によると、今年から来年にかけてアメリカで飼料穀物の豊作
が予測されるため、飼料価格が下落すると予想されている。今年上半期にキログ
ラム当たり16バーツ(15円)に達したトウモロコシの価格は下半期には、10%低
下し、同4.6バーツ(13円)程度になると予測されている。また、上半期平均価格
がキログラム当たり10.47バーツ(30円)だった大豆も同様に10%程度の低下が見
込まれている。

 一方魚粉価格もわずかに低下傾向にあり、上半期平均価格がキログラム当たり
19.6バーツ(57円)だったものが7月第1週では19.2バーツ(56円)となっている。

● ● ● 最近の輸出価格の動向 ● ● ●

 世界的な鶏肉需要の増加の影響で、2003年始めに1トン1,500米ドル(18万1千円:
1米ドル=121円)で取引されていた冷凍鶏肉は6月下旬にはEU向けで2,400米ドル
(29万円)、日本向けは最高で3,000米ドル(36万3千円)に達するといわれており、
今後もしばらくは高値が続くと見込まれる。ここ数カ月の需要の急激な増加は米国
で発生したニューカッスル病によりカナダが輸入先をタイに振り替えたことや、EU
および中国で発生した鳥インフルエンザによりEU、日本が輸入先を振り替えたこと
などが要因として挙げられる。

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