◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2003年1〜4月におけるブロイラー輸出量(可食処 理ベース)は、前年同期比2.1%増の68万4千トンとなった。国別に見ると、最大 の輸出市場となっているロシアは、前年同期比9.9%減の22万2千トンとなった。 また、香港は同40.9%減の6万3千トン、シンガポールは22.5%減の4千トンと、今 年に入り猛威を振るった新型肺炎(SARS)の影響により外食産業の需要が落ち込 んだ結果を反映する形となった。日本向けは、米国における低病原性鳥インフル エンザの発生による日本の輸入一時停止措置の実施などから、同8.5%減の1万2千 トンと主な輸出相手国で減少した。一方、低調なロシアやアジア諸国向けに代わっ て、輸出を大きく増やしたのは、中国の前年同期比2.7倍増の5万2千トン、ポーラ ンドの同1.6倍増の1万3千トンのほか、東欧、中南米、カリブ諸国であり、輸出量 合計では微増となった。
|
輸出価格(輸出額を輸出量(製品重量ベース)で除したもの)は、タイやブラ ジルなど競争相手との競合により低下が続いているとされ、2002年の平均は前年 比9.6%安のトン当たり670ドル(81,070円、1ドル=121円)となり、2003年1〜4 月では、前年同期10.7%安のトン当たり632ドル(76,472円)となっている。国別 に見ると、高値で推移していた日本向けの低下が著しく前年同期比24.2%安のト ン当たり1,069ドル(12万9,349円)、ロシア向けも同23.9%安のトン当たり455ド ル(55,055円)となっている。
|
資料:FAS/USDA「Poultry Total Exports」 注1:輸出額を輸出量(製品重量ベース)で除したもの 2:2003年は1〜4月の平均 |
USDAでは、2003年上期のブロイラー輸出量について、アジア諸国、メキシコの 需要減、また、今年4月29日から開始されたロシアの関税割当措置導入の影響が懸 念されることにより2.4%減の226万7千トンとこれまでの見通しを下方修正した。 ただし、アジア、ロシア向けの輸出は不確実な要因が多く、マレーシアで米国産 鶏肉禁輸措置が解除される動きなどもあり、増加に転じる可能性もあるとされる。
元のページに戻る