◇絵でみる需給動向◇
豪州農業資源経済局(ABARE)は、四半期ごとに主要農産物の需給予測を発表し ている。6月の発表によると生乳生産量は、2003年1月以降、干ばつの影響でかな り減少しており、2003年1月は前年同月比15%減、2月は同19%減と大幅に減少 し、7月から4月までの累計でも前年同期比8%減となった。これは飼料コスト高 から飼養頭数を減らしたことや乾乳(豪州、NZでは一般的に草資源が不足する4 〜6月にかけて乾乳する。)時期を早めたことから1頭当たりの乳量が低下したこ とによるもので、5月、6月も生乳生産量の減少は続いたとみている。この結果、 2002/03年度(7月〜6月)の生乳生産量は、前年度比10%減の1,014万キロリ ットルになると予測している。
2003/04年度の生乳生産量については、干ばつの影響は予断を許さないとした 上で、主要な酪農地域に冬から春にかけて充分な降雨があると想定すれば、飼養頭 数は微増し生乳生産量は前年度比0.4%増の1,018万キロリットルと予測している (図1)。生乳生産量の用途別仕向け割合を見ると、加工仕向けには全体の約8割 が当てられるがこの割合は例年と変わらない。なお、飼養頭数は前年度の205万3 千頭より0.7%増加の206万8千頭と予測している。
また、生産者乳価は豪ドル高による輸出不振から前年度のリットル当たり29.5 豪セントに比べ2.7%安の28.7豪セント(約24円:1豪ドル=82円)と予測され ている。
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資料:ADC「Dairy Compendium」、ABERE「Australian Commondities」 注1 :02/03年度は推定、03/04年度以降は予測値 |
2003/04年度の乳製品生産量は、前年度と比較して、チーズ、全紛乳ともに1.2% とわずかに増加するのに対し、バターは12.1%、脱脂紛乳は15.4%とかなり大き く減少すると予測されている(図2)。
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資料:ADC「Dairy Compendium」、ABERE「AustralianCommondities」 注:02/03年度は推定、03/04年度以降は予測値 |
また、主な乳製品の国際価格については、2002/03年度は後半以降ほぼ安定し ており、2003/04年度ではバターは前年度比2.3%安のトン当たり1,151米ドル、 チーズは同0.2%安の同1,767米ドル、脱脂紛乳は同2.2%高の同1,620米ドルと 予測している(図3)。当年度の乳製品全体の世界的な需要は、わずかに弱まると みており、乳製品輸出額は豪ドル高の影響もあって前年度比18.6%減の22億3,500 万豪ドル(約1,833億円)と見込んでいる。
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資料:ABERE「Australian Commondities」 |
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