◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、生乳生産量は、2001年11月から前年同月を上 回って推移してきたが2003年5月には前年同月比0.5%減の682万6千トンと18 カ月ぶりに減少に転じた。また、経産牛頭数も12カ月ぶりに同0.3%減の912 万3千頭、さらに1頭当たり乳量も20カ月ぶりに0.1%減の748キログラムと前 年同月を下回った。これは昨年来の生乳生産量の増加に伴って飲用乳価およ び加工原料用乳価が大幅に下落していること(5月の生乳生産者販売価格前年 同月比4.3%安の100ポンド当たり11.1ドル(キログラム当たり29円、1ドル= 121円))、干ばつの影響により干牧草等購入飼料の価格が上昇していること などにより酪農家の収支が圧迫されたため、経産牛の更新を行なう動きによ り生産量も減少に転じたとみられる。
生乳生産の増加に伴って、乳製品の生産も増加傾向で推移していたが、5月 の乳製品の生産量を品目別に見ると、チーズは前年同月比1.1%減の33万5千 トン、バターは同8.7%減の5万2千トン、脱脂粉乳は同5.5%減の7万トンと なった。チーズは5月に、バターは3月に減少に転じている。一方、乳製品の 在庫について見ると、バターの民間在庫は5月末には前年同月比33.7%増の 13万トンとなった。また、脱脂粉乳については、民間在庫は減少傾向にある ものの、商品金融公社(CCC)による政府在庫が増加し、4月末には前年同月 比21.9%増の60万3千トンと過去最高の数量となった。
USDAでは、2003年後半にかけて搾乳牛頭数は微増傾向で推移するものの、 牛群の更新により初産牛の割合が例年になく増加するため1頭当たりの乳量 も増加し、生乳生産量については前年比1%増程度と見込んでいる。また、 2003年後半に向け景気は上向くものの、乳製品需要は依然低い水準で推移 するものと見られている。
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