南部2州の対ロ豚肉輸出が条件付きで再開 ● ブラジル
南部2州の対ロ豚肉輸出が一部を除き再開
ブラジル農務省は6月13日、オーエスキー病を理由にロシア向けの豚肉輸出が
停止されていたサンタカタリナ(SC)州とリオグランデドスル(RS)州の南部2
州において、過去12カ月にわたり発生がなかった郡については、6月16日以降、
豚肉輸出が再開されると発表した。これは、ロシア政府が、オーエスキー病の発
生した郡のみを輸入停止の対象とするというブラジル側の提案を受け入れたもの
である。なお、過去12カ月以内にオーエスキー病の発生が確認されたSC州の9郡と
RS州北部の1郡については、輸入停止措置が継続されるとしている。
ブラジルの衛生当局によると、ロシア政府は2002年12月下旬、オーエスキー病
の発生を理由に、ブラジル最大の養豚地帯であるSC州産豚肉の輸入を停止した。
同州における発生件数(6月12日時点)は、2002年が35件、2003年が4件と発
表されている。また、今年に入ってSC州に隣接するRS州北部のピニェイリンニョ
ドバレ郡の1農場でオーエスキー病が発生したことから、ブラジル政府は5月下旬、
予防措置としてロシア向けの同州産豚肉輸出を停止した。
南部2州の生産量のシェアは55%
近年におけるブラジルの豚肉生産は、輸出増を背景に、増加傾向にある。ブラジ
ル豚肉生産輸出業協会(ABIPECS)によると、2002年の豚と畜頭数は、前年比8.6%
増の3,790万頭、豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、5.9%増の289万トンとなっ
た。2002年のと畜頭数のうち、連邦政府による検査を受けている施設のと畜頭数
(2,157万頭)を州別に見ると、SC州が716万頭と最大で、次いでRS州が475万頭
となっており、全体に占める割合は、それぞれ33.2%、22%、南部2州合わせて
約55%となっている。
また、ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)の統計によると、2002年の豚肉輸
出量(製品重量ベース。以下同じ)は、47万6千トンとなった。州別に見ると、
SC州が26万5千トンと最大で、次いでRS州が7万3千トンであり、2州で全体の7
割強を占める。輸出相手先を見ると、ロシアが37万7千トンと全体の8割弱を占
め最大で、ロシア以外の相手先としては、香港5万トン、アルゼンチン1万3千ト
ン、オランダ8千トンなどがある。
2003年1〜4月の対ロ輸出量は17%減
2003年1〜4月の豚肉輸出量は、前年同期比20.1%増の14万3千トンとなった
が、1トン当たりの平均輸出価格の下落から、輸出額は3.3%増の1億4,280万ド
ル(約173億円:1ドル=約121円)にとどまった。
輸出相手先を見ると、ロシア向けは前年同期比17.1%減の8万トンとなった。こ
の減少は、オーエスキー病によるSC州産豚肉の輸入停止措置による影響が大きい。
一方、香港向けは約2倍の2万3千トン、アルゼンチン向けは約4.3倍の1万4千トン
となった。これは、業界がロシア向けの減少分をカバーするため、香港やアルゼ
ンチンに積極的な売り込みを行ったためと報じられている。
一部の現地報道では、オーエスキー病を理由としたロシアによる輸入停止措置は、
ブラジルが2002年にロシアからの肥料用硝酸アンモニウムに対して、アンチダン
ピング措置を講じたことに対する報復であるとの見方もあるが、ABIPECSのマルチ
ンス理事は、このような問題を契機に、輸出市場の多角化を図る必要性があると
している。
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