米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○枝肉生産量減少に転じ、価格高懸念


● ● ● 10月の枝肉生産量は前年同月12.2%の減 ● ● ●

 米農務省(USDA)によると10月の枝肉生産量(枝肉重量べース)は前年同月比12.2%減の100万トンとなった。と畜頭数も、前年同月比8.7%減の298万4千頭となった。(左図参照)

 この減少の要因として、2003年2月からの1頭当たりの枝肉重量の減少がある。10月の1頭当たりの枝肉重量は前年同月比3.9%減の338キログラムとなり、9カ月連続で前年を下回って推移している。



● ● ● 牛肉価格の動向 ● ● ●

 USDAの部分肉価格(カットアウトバリュー:各部分肉の卸売価格をプライマルカッツ(大分割)に再構成した卸売指標価格)、チョイス級ロインおよびショートプレートは、それぞれ、肥育牛価格が前年同月を上回った2003年4月から値上がりを始め、10月末日時点でロインは、カナダでのBSE発生前の4月最終週と比較すると14.8%高の100ポンド当たり251ドル(キログラム当たり609円、1ドル=110円)、ショートプレートでは同22.3%高100ポンド当たり105ドル(キログラム当たり255円)となった。

● ● ● 部分肉価格の上昇はカナダでBSEの影響 ● ● ●


 USDAは5月20日、BSEの確認されたカナダからの生体牛および牛肉等の輸入禁止措置を発表した。牛肉等については8月8日、30カ月齢未満の牛由来の骨無し部分肉等について輸入禁止措置を解除しているが、生体牛については依然輸入禁止措置が続いている。上記ロインおよびショートプレートの価格について、この措置発表前の7月と10月の価格を比較すると、それぞれ21.8%、4.4%上昇した。

 これは、カナダからの部分肉輸入が解禁された現在も、生体牛の輸入禁止措置が継続されていることにより品薄感が米国市場に残っているものと考えられる。2002年における米国の牛肉輸入量は145万9千トンであり、このうちカナダからの輸入量は49万4千トン、輸入量に占める割合は33.5%となる。また、生体牛の輸入は168万6千頭となっており、米国の2002年のフィードロット出荷頭数2,027万頭に占める割合は8.3%となっている。

 USDAは10月31日、BSE発生国の中でその危険が最も小さい地域を特定して生体牛等の輸入を認める規則案を公表した。これは、第1義的にカナダを想定しているものであるが、規則案に係るパブリックコメントを来年1月5日期限として求めており、年明けにはそれが実施されるか注目されている。


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