◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省経済局によるとブロイラー生産量は2002年4月以降前年同月を上回って推移しており、7月は前年同月比8.2%増の8千567万羽となった。 また同月の卸売価格についても前年同月比73.5%高のキログラム当たり45バーツ(130円:1バーツ=2.9円)と過去3年間で最も高い水準に達している。 また、農家販売価格についても同様に前年同月比26.9%高の31.8バーツ(92円)にまで上昇した。
この要因として、今年3月中旬から実施している生産調整のほか、中国での鳥インフルエンザにより主な輸入国であるEUおよび日本が輸入先をタイに振り替えるなどタイ産鶏肉をめぐる様々な好条件が重なった事が挙げられる。 |
ブロイラーの卸売価格の上昇に伴い小売価格も上昇しているが、2003年7月の価格水準は前年を下回っている。しかしながら、最近では底値であった3月の水準に比較すると18%高となっており、急激に価格は回復した。
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ひなふ化羽数の推移をみると、4月以降前年を上回って推移しており、飼育日数を考慮すると、7月以降も鶏肉生産の増加傾向は継続するものと見込まれる。
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業界筋の情報によるとブロイラーの農家販売価格は9月中旬以降、30バーツ(87円)から19バーツ(55円)まで急落したとされている。 この背景としては、生産が順調に推移している一方、鳥インフルエンザのため、一時停止していた中国産鶏肉の輸出市場への復帰により、強気の価格設定が嫌われたことに加え、15%削減を目標に実施したが、生産調整の徹底が不十分なため潜在的な価格引下げの圧力となっていて、それが国内価格において一挙に顕在化したためと考えられる。 |
2003年のタイの鶏肉生産量は、約100万トンと見込まれるが、うち半分の50万トンが輸出に仕向けられ、さらに、そのうちの約50%が日本に輸出されると見込まれている。1996年以前は輸出の70%以上が日本向けであり、その割合は年々減少傾向にある。 タイの鶏肉輸出業界では、今後の日本市場への輸出について、ブラジル等との競争が益々厳しくなると同時に日本市場自体のこれ以上の拡大は見込めず、日本市場は既に“成熟した”との見方が支配的である。 そのため、輸出企業は、韓国、台湾そしてロシア市場など日本以外の市場の開拓に力をいれ始めている。 |
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