米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2003年10月の生乳価格は回復基調


● ● ● 生乳価格、乳製品価格とも に前年同期割れ ● ● ●

 米農務省(USDA)によると、生乳農家販売価格(グレードA(飲用規格乳)およびグレードB(加工用規格乳)価格の加重平均)は、2002年3月以降連続して前年同月を下回っていたものの、2003年7月から17カ月ぶりに前年同月を上回って推移している。10月は前年同月比22.3%増の100ポンド当たり14.8ドル(キログラム当たり36円:1ドル=110円)となった。

  また、10月の乳製品卸売価格も、バターが前年同月比14.8%高のポンド当たり118.5セント(同287円)となり、チェダ−チーズが同28.75%高の122.6セント(297円)と堅調な需要と生乳生産量の減少を背景に上昇している。一方、脱脂粉乳は同9.3%安の84.0セント(204円)と高い在庫数量を背景に低下が目立っている。(左図参照)

● ● ● 搾乳牛飼養頭数、生乳生産量の減少 ● ● ●

 搾乳牛飼養頭数は、今年5月から4カ月間連続して前年同月を下回っており、9月は前年同月比1.0%減の905万3千頭となった。また、生乳生産量も同じく5月から減少に転じ前年同月比0.5%減の607万7千トンとなった。生乳農家販売価格の上昇は、これらの要因により、生乳生産量が下降基調に入ったため、品薄感に市場が反応しているものと考えられる。また、今年前半の干ばつの影響により長引く干牧草等粗飼料の価格高騰が、酪農経営を圧迫し牛群の規模縮小を余儀なくされていると考えられている。これに伴い、9月の乳製品の生産量は需要の強いチーズは前年同月比3.3%増の32万トンとなり、その他の乳製品の生産量が減少している。

 

● ● ● 期待される生乳生産者団体による自主的取り組みの効果 ● ● ●

 米国最大の生乳生産者団体である全国生乳生産者連盟(NMPF)が7月3日に発表した生乳価格回復のための生乳生産削減等のプログラム(CWT;Cooperative Working Together)が当初の計画をほぼ達成する形で始動した。

 NMPFは参加者から徴収した6,000万ドル(約66億円)を財源に今後1年間で12億ポンド(約54万トン)の生乳生産の削減とそれによる100ポンド当たり35セント(キログラム当たり85銭)の乳価の上昇を目指すとしている。NMPFは、最近の乳価の回復について様々な要因が挙げられるが、CWTもその1つであるとしている。

 一方、USDAによると生乳農家販売価格は、2003年通年で前年比2.3%高の100ポンド当たり12.40〜12.50ドル(30.1〜30.3円/kg)と2002年並みの水準と予測されている。


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