COPA-COGECA、今夏の猛暑の農業等被害額を130億ユーロと推計  ● E U


欧州の中・南部に大きな被害

 欧州農業組織委員会/欧州農業共同組合委員会(COPA/COGECA)は10月10日、今年の夏に欧州を襲った猛暑や森林火災による被害額が現時点の推計で、130億ユーロ(約1兆6,800億円、1ユーロ=129円)であるとする「農業および林業に与える2003年夏の熱波と日照りによる影響額の評価額」と題する研究結果を公表した。概要は以下の通り。

 イタリア、ドイツ、スペイン、フランスおよびポルトガルに加え、ポーランドやハンガリーなどのEU加盟予定国など、欧州の南部および中部で、今年の夏の日照り、熱波および森林火災により、穀物収量の大幅な減少、農産物の生産性や市場価値の低下、生産費用の増加を招いた。また、地域により被害の大きさは異なるが、農業分野で被害が大きいものは、青刈り飼料(green fodder)、耕種作物、鶏肉または鶏卵生産などの家畜生産部門などである。また、ジャガイモやワイン部門も被害を受けた。

飼料生産に大きな影響

 農業分野への主な影響は次の通り。

1 牧草地

 青刈り飼料への影響が最大で、生産量はドイツ、オーストリア、スペインで30%、イタリアで40%、フランスで60%とその被害は幅があるものの、生産量の大幅な減少が推計されている。このことにより不足する飼料を確保するためには、全体で6億2,500万ユーロ(806億円)の費用が必要である。

  なお、青刈り飼料の不足で、牛群の一部を早期にと畜するなど、肉用牛や乳用牛への影響が出てきている。

2 肉用牛

 フランス1国だけで、被害額が15億ユーロ(1,935億円)と推計されている。肉用牛農家1戸当たりの不足する飼料の購入に係る費用は平均3万ユーロ(387万円)と推計されている。

3 牛乳

 今年の7月から9月の生乳の集荷量は地域により差はあるものの、フランス全体では、前年同期に比べ2.65%(1億8,300万リットル)減少し、5,600万ユーロ(72億2,400万円)の販売収入が減少したと推計されている。なお、今年の夏の猛暑による生乳生産への影響は、来年の春に新たな飼料が生産されるまで続くと見込まれる。

4 養鶏

 フランスとスペインで大きな被害が発生。フランス国内では、主要産地を中心に全体で約4百万羽のブロイラーが暑熱により死亡。さらに、生産性が約15%低下し、150万羽(全体の4%)の採卵鶏に被害があった。以上の被害額は4,200万ユーロ(54億円)と推計されている。

5 養豚

 フランスおよびスペインでの被害額は、それぞれ5,500万ユーロ(71億円)、2,700万ユーロ(34億8,000万円)と推計されている。

6 穀物

 穀物は、生産量は前年に比べ11.1%(約2,300万トン)減少し、約1億8,600万トンになると推計されている。これは、@作付面積が前年に比べ2.7%(約百万ヘクタール)減少したことA単位当たりの収穫量が8.6%減少することによる。


イタリアが最大の被害国

 主な国の被害額は、次の通り。

フランス
 40億ユーロ(5,160億円)(肉用牛部門15億ユーロ(1,935億円)、トウモロコシ2億6,500万ユーロ(342億円)など)

ドイツ
 15億ユーロ(1,935億円(飼料関係6億5,000万ユーロ(839億円)、穀物3億8,800万ユーロ(501億円など)

イタリア
 40億から50億ユーロ(5,160億円から6,450億円)

スペイン
 8億1,000万ユーロ(1,045億円)(穀物7億1,000万ユーロ(916億円)、畜産1億ユーロ(129億円)


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