2004年度EU農業予算、本年夏の猛暑の影響により減額


2004年度予算を修正

 EU委員会は10月29日、2004年度の共通農業政策(CAP)に関する予算の修正案を提出した。修正の内容は、予算額を本年5月に示したものに比べ、約11億ユーロ(約1,419億円、1ユーロ=129円)減額するものである。

 今回の予算額の減額についてシュライヤーEU委員(予算担当)は、「今回の修正は、非常に注意深く運営する必要のある農業予算において、CAPについて定められている2006年度までの単年度予算枠の上限に対し43億ユーロ(約5,447億円)の余裕が生じることとなる。これにより、例えば悪天候などによる万一の場合の対策に備えることができる」とコメントを発表している。


猛暑の影響により支出額が大幅に減少

 EU委員会は当初予算を作成した5月以降の状況を踏まえ、毎年10月下旬頃、予算の見直しを行っている。この際、EU委員会は、市場の状況や、為替の変動のみならず、その他の状況の変化、例えば予算執行期間において施行される規則の変更の決定や提案などを考慮に入れ、それぞれの支出項目について注意深く分析を行っている。

 農村地域開発対策を除くCAP予算については、見直しの結果、本年5月に作成したときのものと比べ、10億9,250万ユーロ(約1,409億円)減額することとなった。このように予算の大幅な減額となった主な要因は、この夏の猛暑による影響である。特に、穀物対策については、7億4,100万ユーロ(約956億円)の減額となる。これは、本年夏の猛暑により、穀物収穫量が大幅に減少したことから、輸出仕向けが減少(輸出補助金の減少)し、また、介入買入れ量も減少すると見込まれているためである。 

 なお、この夏の猛暑により牧草などの収穫量が大幅に減少したことなどから、肉牛や羊などを飼養している農家にも被害が出ている。このことへの緊急支援対策として、肉牛などへの奨励金に係る前払い金について、その上限を通常の60%から80%等へ引き上げて交付することとした。この結果、本来2004年度予算から支出されるべき奨励金の一部が、2003年度予算から支出されたことから、2004年度の予算においては、肉牛、羊およびヤギに係る奨励金がそれぞれ1億700万ユーロ(約138億円)、3億300万ユーロ(約391億円)の節約となる。なお、節約される予算の一部は、乾燥飼料など他の品目の対策などに活用されることとなる。

EU農業予算について
資料:EU委員会                        (単位:百万ユーロ、%)
 
 

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