拡大が見込まれる豪州のオーガニック生産


認定団体がレポートを発表

 豪州の代表的なオーガニック認定団体の1つであるバイオロジカル・ファーマーズ・オーストラリア(BFA)は9月、業界の現状と展望に関するレポートを発表した。現在、豪州には7団体がオーガニック認定機関として登録されており、BFAはその1つで、EUや日本においても登録認定機関となっている。


需要に応える生産が課題

 同レポートによれば、近年における豪州のオーガニック産業の推移は下表のとおりであるが、拡大基調に拍車がかかっている様子がうかがえる。例えば、オーガニック製品の小売販売額において、1990年の約2,800万豪ドル(約22億円:1豪ドル=78円)から2002/03年度には推定で2億5,000万豪ドル(約195億円)と、ここ10年余で消費者に急速に浸透したことが示されている。ただし、輸出額については2002/03年度に推定4,000万豪ドル(約31億円)と、干ばつの影響による飼料不足で牛肉などの伸びが鈍化したこともあるが、輸出市場に占める割合は未だ小さいとしている。

 また、認定農家数は過去2年連続で10%以上増加したと推定しているが、全農家に占める割合はわずか2%にも満たないため、当面の需要の増加傾向に対して、供給面の成長が追いつかないと分析している。従って、農家にとってはまだまだ市場拡大の可能性があると言える。


2010年には10人に1人がオーガニック農家に

 高まる需要を背景に同レポートでは、供給拡大を目指すプロモーションの意味も含め、2020年までにオーガニック産業は、

・豪州の第一次産業生産者の10%
・豪州の食品総生産額の10%
・豪州内の小売食品市場の10%

に到達すると見通している。

 また、オーガニックによる伝統的な農法は、化学肥料や農薬の使用量を2001年の水準より50%低減させるために主導的な役割を担うと述べている。ただし、これらを実現するためには、次の実施が必要であるとしている。

・オーガニック生産システムに関わる生産者や加工業者、販売業者への広範囲の教育と訓練
・認定されたオーガニック製品について消費者への広範囲の知識普及と販売促進
・オーガニック産業を発展させるため技術的な専門知識や能力の確立、そしてその実践と製品作りのための業界誘導
・今後の傾向や変化に対応するため、政府や農業関連産業、農場部門の間の広範囲な情報交換

 このように、豪州においても米国やEU、日本など他の先進国同様、食に対する関心の高まりから、オーガニック生産は拡大する見通しである。現在、スーパーマーケットなど小売市場で見かけるオーガニック製品は牛肉など限られた製品のように思えるが、このレポートの見通しのとおりに推移すれば、今後、多種多様な製品を店頭で見かける機会も高まるに違いない。

豪州のオーガニック産業の推移
資料:BFA他
注1:2002/03年度(7〜6月)を除き年ベース 注2:*は推定値

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