肉牛業界団体が対日販売促進活動の必要性を主張 ● 豪 州


CCAがMLAの事業評価を実施

 豪州肉牛協議会(CCA)は10月8日、「豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)事業の評価報告」(Review of Meat and Livestock Australia Programs)を連邦政府のトラス農相に提出した。牧草肥育牛生産者の代表団体としてCCAは、MLA設立後、MLAの牛肉関係業務について豪州フィードロット協会とともに監督する責務を負っており、この評価報告はその一環として実施されたものである。

 CCAのアダムス理事長は、この報告について「最近では、豪州の農業分野における業界代表団体による最も包括的かつ中立公平な事業評価報告である」と述べている。


MLA事業は総じて効果的と評価

 MLAは、豪州の牛肉や羊肉の販売促進や研究開発などの業務を行っているが、2002/03年度において、MLAの収入予算は合計で1億2,650万豪ドル(約99億円:1豪ドル=78円)、そのうち29%に相当する約3,700万豪ドル(約29億円)が牧草肥育牛の課徴金によって賄われている。

 CCAの評価報告は、MLAの事業に対して改善・検討すべき問題があることを指摘しているものの、牧草肥育牛の課徴金資金の効果的な使用が行われており、多様な事業による全般的な実施状況は高い水準にあると評価している。加えて、豪州の牧草肥育牛の生産者にとっても、全体として、課徴金資金が効果的に管理・運営されていることに信頼し得るとしている。


対日販売促進活動は強化が必要

 全般的に高い評価を得た中にあって、注目すべきことは、対日販売促進活動の資金供給計画において、現在の日本における豪州産牛肉の市場シェアは縮小の危険にさらされていると結論付けたことである。日本の牛肉市場は豪州産牛肉の輸出量の4割近くを占め、今後も拡大が期待できると認識した上で、MLAが日本における市場活動経費を増加しない予算を組んだ場合、危機的な状況になるとしている。

 MLAの日本での販売促進活動予算は2001/02年度の1,600万豪ドル(約12億円)から2002/03年度には1,270万豪ドル(約10億円)に減少した。CCAによれば、2003/04年度の同予算はさらに大幅な減少となる680万豪ドル(約5億円)が計画されているという。

 従って、@過去2年間と同様の消費者キャンペーンを行うには不十分でありA日本市場での輸入牛肉に占める豪州産のシェア(2002年4月:41%→2003年4月:49%)は1年で回復したが、米国産(2002年4月:53%→2003年4月:45%)の巻き返しに遭う恐れがある−と懸念している。

 報告では、「このような大幅な予算削減の影響は、日本での牛海綿状脳症(BSE)発生後、MLAの予算不足からすべてのキャンペーンが中止された2002年前半において、豪州産牛肉の日本市場での輸入牛肉に占めるシェアが40%半ばから35%に下落したことで、既に実証されている」と販売促進活動の必要性を主張している。

 このほか、2005/06年度までの国内外の市場活動に対する潜在的な資金需要の分析にMLAが着手するよう勧告している。


注目される報告の影響

 CCAの報告は、主なMLAの事業概観の提供に加えて、牧草肥育牛の課徴金資金を含むそれぞれの事業を分析し、業界内での議論のための資料の提供や勧告を行っている。一方、生産者に対しても業界団体の総会における議決権行使のための判断材料を提供する面も併せ持っている。

 CCAの報告の狙いは、もちろん全般的な事業の改善点の提言にあるものの、その重点事項として、牛肉販売促進活動に関連する事業とその効果に対する妥当性を与える意図もうかがえ、この報告が今後どのような影響を与えるのか興味深い。


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