輸出の増加などを受けて価格上昇
タイ養鶏振興協会によると、9月末の鶏卵の国内平均販売価格は平均サイズで1個当たり1.6〜1.7バーツ(4.5〜4.8円、1バーツ=2.8円)で取引されている。
9月以降の国内鶏卵価格の上昇は、最近の好調な鶏卵輸出により国内市場での需給バランスが均衡しているためと考えられる。なお、輸出仕向け品の価格は国内のそれより低価格となっており、現在、香港向けで卵のサイズによって1.1〜1.3バーツ(3.2円〜3.6円)の間で取引されている。
ヨーロッパで発生した鳥インフルエンザ対策のために3月〜5月の3カ月の間にドイツ、オランダで合わせておよそ4,500万羽の採卵鶏が淘汰されたとされ、さらに、夏の猛暑の影響などにより、EU域内の大手鶏卵輸出国からのアジア地域を初め中東各国や、南アフリカ向け輸出量が減少し、取引価格も上昇している。このことから、アジアの主要鶏卵輸入地域である香港がその代替需要として、タイからの輸入を増加させたことが、現在の好調な輸出需要の原因であると考えられる。
図1 鶏卵輸出量および額(2002-2003、1月〜5月)
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資料:農業協同組合省畜産開発局
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生産量は減少の見込み
タイ鶏卵生産・輸出入協会によると、2002年の鶏卵生産量は対前年比6.3%増の93億5千万個となった。同国内の鶏卵生産は近年、急速に規模拡大が図られ、飼養形態も伝統的な開放型鶏舎から気化冷却施設を備えた鶏舎に移行している。このような経営の大規模化・効率化により生産性は上昇したものの、大手インテグレーターを除く中小養鶏農家は国際競争力を維持するほどの生産コストの水準を達成できていない。2002年の国内市場での鶏卵1個当たりの平均価格は1.4バーツ(3.9円)、同生産費は1.5バーツ(4.2円)となり、鶏卵価格は生産費をわずかに下回って推移した。
また、昨年来続く国内での供給過剰状態を解決するため輸入ペアレント・ストック(PS)を減羽しており、コマーシャル鶏の生産は減少するとみられている。
同協会によると2002年の同国の鶏卵消費量は93億1,200万個、1年1人当たり消費量は148個とされている。
生産者団体は国内鶏卵消費の底上げを図り、供給過剰を解消しようと、鶏卵が優れた総合栄養食品である点を強調し、消費拡大イベントや街頭パフォーマンスなど、各種販売促進活動を行っている。
同国農業協同組合省畜産開発局によると、2003年の1月から5月までの鶏卵輸出は前年の輸出総量が3,800万個であったのに対し既に5,600万個に達しており、鶏卵生産・輸出入協会は、今年の鶏卵輸出は年末まで高水準で推移すると予測している。
図1 タイ鶏卵生産
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資料:タイ鶏卵生産・輸出入協会
注:2002年は暫定値
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