生乳生産量は増加が続く見込み        ● 中 国


2002年の生乳生産量は大幅増

 米農務省海外農業局(USDA/FAS)は先ごろ、中国における酪農の状況に関するレポートを公表した。そのうち、生産の概要は次の通りである。

 2002年の中国の生乳生産量(牛由来のもの。以下同じ)は、経済成長に伴う所得の増加などにより、特に都市部の富裕層を中心に牛乳・乳製品の消費が急速に伸びていることを反映し、前年を26.7%上回る1,299万8千トンとなった。また、2002年の都市部における牛乳(Fresh milk)の1人当たり消費量については、前年比32.1%増の15.7キログラムであった。

 最大の生乳生産地域は黒龍江省で、2002年は前年比65.1%増の235万8千トン、これに内蒙古が同143.3%増の165万2千トン、河北省が同0.1%増の136万9千トンと続き、これら上位3地域で全体の41.3%を占めている。

中国の生乳生産量
(単位:千トン、%)
資料:USDA/FAS
 注:2003年および2004年は予測値

需要の伸びに対し国内供給量が不足

 しかし、牛乳・乳製品需要の急速な伸びに国内の供給が追いつかないため、米国および豪州からの生体牛および乳製品の輸入も増加しており、2002年の乳製品輸入量は前年比34.3%増の26万2,595トンとなっている。これは、中国ではホルスタインなどのいわゆる純粋な乳用種の飼養頭数が不足していることが主な要因として挙げられる。中国農業部によると、2002年の純粋種の乳用牛群に占める割合は5割に過ぎず、2003年には、その割合はさらに低下し、3分の1程度と推計されている。また、草地の減少による粗飼料の不足や疾病管理も国内生産拡大に向けた大きな課題とされている。


政府は生産拡大に向けた長期計画を公表

 こうした状況を受け、農業部は国家戦略として「Advantageous Cow Milk Development Area Plan」(2003−07年)の実施を発表した。これによると、黒龍江省と内蒙古の一部などの北東部、山西省と河北省の北部、および北京・天津・上海地域の3地域を対象に、牛群改良、飼養管理の改善、向上を図ることで、生産拡大を目指している。この計画の実施により、2007年までには、これら地域における乳用牛の飼養頭数は280万頭となり、年間生乳生産量も15〜18%の増加が見込まれる一方、乳製品の輸入量が減少するものと予測されている。


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