韓国の酪農・乳業

企画情報部企画課





ひとくちMemo

 韓国の酪農・乳業は、食の西洋化などによる1人当たり牛乳・乳製品消費量
の伸びに伴い、大きく発展してきた。2002年6月時点の乳用牛飼養頭数は54万5
千頭で、85年との比較では約1.4倍の増加となっている。2001年の生乳生産量
は日本の約3割に相当する233万9千トンであった。一方、2002年6月時点の酪農
家戸数については1万2,100戸で、85年の約4分の1の水準へと減少している。こ
うした動きから、1戸当たり乳用牛飼養規模は拡大して推移しており、2002年6
月時点では45頭となった。

 同時点での1頭当たり乳量は約8,500キログラム、平均乳脂肪率は約4.2%で
あった。平均乳脂肪率が高い要因としては、韓国では、乳脂肪率が乳価算定上、
重要な決定要素の1つとなっているため、乳牛の改良などにおいて、この点が
重視されてきた点が挙げられる。なお、同国の乳牛の品種は、ホルスタイン種
が大半を占める。

 韓国では、生乳の飲用乳仕向け割合が比較的高いが、最近では他の飲料との
競合が激化する一方で、生乳生産の拡大が続いていることにより、供給過剰が
大きな問題となっている。

    
 忠南道唐津郡にある太光牧場の李封命氏と
奥様。現在の労働力は、この2名。27年前に子
牛3頭の飼養からスタートしたとのこと。突然
の訪問にもかかわらず、快く対応していただ
いた。

    
 育成舎。畜舎数はこれを含めて3棟。現在、
搾乳牛56頭、乾乳牛10頭、初妊牛14頭、育成牛
20頭、子牛40頭の合計140頭を飼養。畜舎等の
スペース800坪(0.26ヘクタール)のほか、水
田約1ヘクタール、飼料畑16.53ヘクタールを保
有。飼料畑では、スーダングラス、ライ麦お
よびトウモロコシなどを栽培。

    

    

    

    
 牛舎の内部。牛の首輪にはこの牧場独自の
個体番号が付けられている。飼料については、
配合飼料が4に対して、粗飼料が6の割合で給
与。配合飼料のすべてと粗飼料の7割は外部か
ら購入。品種はすべてホルスタイン。更新は
平均34産で実施している。なお、生産者乳
価はキログラム当たり約60円となっている。

    
 搾乳施設。4頭×2ラインで構成されている。
搾乳は12回。1日・1頭当たりの乳量は平均で
約25キログラムだが、60キログラムを超える優
秀な乳牛も4頭保有しているとのこと。精液は
すべて米国から輸入。乳質については、乳脂
肪率は約4.0%、体細胞数は約30万個、細菌数
は約1万個。ちなみに、韓国では、99年から一
元集荷多元販売のシステムがスタートし、2002
年現在、その実施率は70%程度となっている。

    

    

    

    
 ソウル酪農協同組合の第3工場。同組合は、
37年に設立された京城酪農協同組合が62年に
改組されたもので、全部で3つの工場を保有
する。当該酪農協の組合員数は約39百人で、
傘下の乳牛頭数は国内全体の3割弱を占める。
なお、韓国の牛乳・乳製品工場数は全体で50
に満たず、1工場当たりの年間生乳処理量は、
平均58千トンとなっている。

    
 第3工場の鄭雲賢工場長。第3工場は89年に完
成し、HACCPの承認も受けている。1日当たり
の生乳受入数量は約1,840トン。この「アジア最
大規模」の工場では、牛乳、加工乳、乳飲料、
プロセス・チーズ、モッツアレラ・チーズ(唯
一のナチュラル・チーズ)、ヨーグルトなどが
生産されている。
 
 ソウル酪農協の組合員夫人方。牛乳を利用
した料理を工場見学者に提供。牛乳の需要拡
大に一役買っていた。牛乳レシピの定番であ
るお菓子類はすでに実施済みとのことで、今
回はおかず類のレシピが並んでいた。

    
 小学生が飲用乳の容器で作ったヘリコプタ
ー。ソウル酪農協では、廃棄用水の浄化管理、
容器のリサイクルなど、環境面での取り組み
も行っているが、その一環として牛乳の空き
箱を利用した工作飾りのデモンストレーショ
ンを実施している。
 ソウル酪農協で生産している各種乳製品。消費者のし好の多様化により、乳飲料のほか、果汁飲
料も手がけている。右の写真にある女の子のキャラクター入りの商品は児童向けにカルシウムを強
化し、DHAなどを添加した「アンファン(enfant)」シリーズの乳製品。同酪農協の人気商品の1つ
である。

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