◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)が2002年12月に公表した短中期予測 によると、生乳生産量は、2002/03年度が前年度比2.1%増の113万トン(乳固 形分換算)、2005/06年度は、2001/02年度と比べると13.8%増と、98/99年 度以降一貫して増加すると予測されている。これは、10年以上にわたっておお むね増加傾向で推移してきた経産牛頭数が、今後も増加するとの予測によるも のである。なお、この予測は、水不足や土地の利用制限などの特別な障害がな い場合を想定している。
好調な国際価格を背景に、2001/02年度の生乳生産者価格は前年度比6.2% 高の乳固形分1キログラム当たり5.32NZドル(約320円:1NZドル=60円)と過 去最高を記録した。しかし、MAFの予測によると、2002/03年度の生産者価格 は、前年度比30.6%安の同3.69NZドル(約220円)と大幅な下落を予測してい る。これは、2001/02年度終盤から始まった国際乳製品価格の下落とNZドル高 により、輸出額の減少が見込まれるためである。しかし、2003/04年度以降は 国際価格の回復により、2001/02年度には及ばないものの、前年度を上回って 推移するとみている。
このように生産者価格の一時的な下落は予測されているものの、おおむね好 調が予想されるNZの酪農産業であるが、いくつかの懸念材料もある。第1に、 現在、NZドル高の今後の推移である。チーズなどの主要な輸出先である米国や 豪州のドルに対してNZドルが高値となっており、乳製品輸出に影響を及ぼす可 能性が高く、輸出量・額の減少は生産者価格の下落にもつながる。第2には、 豪州で深刻な問題となっている干ばつである。NZでは、現在のところ問題とは なっていないが、エルニーニョ現象の影響を懸念し、干ばつを予測するメディ アもある。NZは、天候に大きく左右される生産体制だけに、その影響は深刻と いえる。 ◇図:生乳生産量と生産者価格の推移◇
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