◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2002年11月の生乳生産量は前年同月比1.9%増 の614万8千トンと引き続き前年を上回って推移した。このような生乳生産量の 増加などを反映して乳製品生産量もおおむね増加傾向が続いている。 11月のバターの生産量は前年同期比3.1%増となり、需要の低迷等から在庫 については、前月よりは減少したものの、前年同月比135%増と引き続き高い 水準にある。小売業者が初秋に積極的な価格設定を行ったものの、在庫を減ら すまでには至らなかった。この価格設定は休暇シーズンにはよく行われ、在庫 の減少に効果的とされている。 チーズについては、モッツアレラチーズの生産は前年同月比3%増にとどま ったものの、特にチェダーチーズの需要が堅調であったこともあり、生産量は 前年同月比3%増の323千トンとなった。バターの生産量は、年初の2ケタ台の 伸びと比べると増加率は鈍化しており、また、脱脂粉乳の生産量は2カ月連続 で前年同月を下回るなど、バターや脱脂粉乳からチーズへの生産のシフトが見 られた。なお、チーズの在庫は317千トンと前年同月比11%増ではあったが、 前月よりも約10万トンの減少となった。 ◇図:チーズの在庫量◇ ◇図:チーズの生産量◇
乳製品の消費そのものは増加したものの、強い在庫圧力等を反映し、200 2年12月の卸売価格は、バターが前年同月比12.5%安の1ポンド当たり112.0セ ント(136円:1ドル=121円、以下同じ)、脱脂粉乳が9.1%安の同87.2セント (106円)、チーズが10.1%安の116.0セント(140円)といずれも前年同月を 下回って推移し、今秋には、当初期待されたほどの季節的な回復が見られなか った。2003年の消費については、景気低迷の影響はさほど大きくなく、増加傾 向で推移するものの、その回復は顕著にはならないと予想されている。
11月の1頭当たり乳量は、前年同月比1.2%増と引き続き増加しているものの、 その伸び率は年度当初よりも緩和傾向にある。経産牛頭数は6月以降引き続き 横這い傾向で推移している。
元のページに戻る