干ばつの影響で2002／03年度の夏穀物も減産予測　● 豪　州

１ヵ月前の予測よりもさらに減少

　豪州農業資源経済局（ABARE）は2002年12月2日、穀物レポートを発表した。
同レポートは、四半期ごとに発表されているが、干ばつの影響から、10月29日
付けで特別号が発表されており（平成14年11月5日海外駐在員情報参照）、約1
ヵ月の間に、収穫期を迎えている冬穀物についてはさらに下方修正された。20
02／03年度の夏穀物の予測ついては、4半期ぶりであるが、前回予想と比べ大
幅に減少する予測値を発表した。概要は以下の通り。

○冬穀物

・豪州全体の冬穀物生産量は、前年を2千100万トンも下回る1千620万トンと予
　測され、94／95年度以来最も少ない収穫になる見通しである。

・その中で収穫期を迎えている冬穀物主要4品目（小麦、大麦、カノーラ、ル
　ーピン）について、前回予測（10月）、前年度とで比較してみると、豪州全
　体では、前回比の1.8％減、前年度比57.5％減の1千451万トンと予測している。

・州別に見ると、タスマニア州を除くすべての州で前年度と比べて大幅な減少
　を予測している。

　雨不足は深刻で、今年4月から10月の降雨量が過去90年間における同期の平均
降雨量を上回ったのは穀物生産の規模が小さいタスマニア州だけで、主要穀物
生産州ではすべて下回っており、そのまま冬穀物の収穫量に反映する状況にな
っている。

2002／03年度主要4品目生産量予測の推移


2002／03年度州別主要4品目生産量予測の推移


○夏穀物

・02／03年度の夏穀物（主要生産州はニューサウスウェールズ（NSW）州とク
　インズランド（QLD）州の2州）の作付け面積は、前年度比41％減の94万ヘク
　タールと予測される。

・かんがい用水の不足は、綿花や米といったかんがいに依存する夏穀物の播種
　に大きな影響をもたらした。綿花の作付け面積は前年度比45％減、米の作付
　け面積は同70％近く減と見通される。

・家畜生産者にとって最も重要な飼料穀物の1つであるソルガムなどは、少量
　の雨でも成長する乾燥地帯の穀物であるが、それでも播種に必要とされる降
　雨量に満たないため、作付けが増える期待は薄い。

・このような作付け予測から、豪州全体の夏穀物生産量は前年比59％減の200
　万トンと予測され、82／83年度の干ばつ以来、最も少ない収穫となる見通し
　である。主要品目では、米が70％減少の38万トン、綿花が65％減少の33万7
　千トン、ソルガムが52％減少の85万5千トンとそれぞれで生産減少が予測さ
　れる。

　今後の降雨もあまり期待ができない状況で、ABAREでは、「夏穀物生産は失
望的な冬穀物の収穫に引き続き不作」と総括している。

厳しい状況は続く

　豪州連邦政府の気象局が2003年1月7日に公表したところによると、12月の降
雨量は、NSW州の中東部など一部地域では平均降雨量を上回ったものの、その
他の地域は深刻な状況が続いているとしている。また、2003年に入り、各地で
降雨があったとの報道もされているが、同局では、長期の雨不足の影響が解決
されたとは言えないとしている。

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