米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○価格低迷で収益の低下が継続


● ● ● ひなふ化羽数が18ヵ月ぶりに前年同月を下回る ● ● ●

 米農務省(USDA)によると、10月のひなふ化羽数は、前年同月比2.6
%減の7億2,031万羽と2001年4月以来18ヵ月ぶりに前年同月を下回った。

 ブロイラー生産量(生体重量ベース)はふ化羽数、1羽当たりのと体重量が
いずれも前年同月を上回る水準で推移してきたことから、引き続き増加傾向が
続いている。2002年1〜11月では前年同期比3.9%増の1,353万トンとなり、200
2年通年では、過去最高を記録した2001年をさらに3.4%上回る1,467万トンに
なると見込まれている。しかしながら、10月のひなふ化羽数が前年同月を下回
ったことで、増加の一途をたどっていた生産量にブレーキがかかり、この時期
に導入されたひなが処理される12月下旬以降から、生産量が減少に転じる可能
性がでてきている。 

◇図:ひなふ化羽数の推移(対前年比)◇


● ● ● 輸出量は前年水準をかなり下回る ● ● ●

 一方、2002年第3四半期(1〜9月)までの輸出量(可食処理ベース)
は、ロシア、香港、メキシコ、日本といった主要輸出先への輸出が減少したこ
とから、前年同期比13.8%減の162万4千トンとなった。中国、ポーランド、コ
ロンビア、ルーマニアなど新たな相手先への輸出が好調であったものの、主要
国の減少分を補うまでには至っていない。

 このような生産量の増加と輸出需要の低迷により国内向け供給量の増加が続
いており、ブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価格)は低迷している。卸
売価格は、2002年2月以降前年同月を下回って推移しており、11月は前年同月
比9.2%安の1ポンド当たり53.5セント(1キログラム当たり約145円:1ドル=1
23円、以下同じ)となった。2002年通年でも、55.9セント(約152円)と前年
水準を5.4%下回ると見込まれている。

◇図:主要相手先別ブロイラー輸出量(1〜9月)◇


● ● ● 飼料コストの上昇などから収益が低下 ● ● ●

 最近のこうした卸売価格の低迷を受け、ブロイラー生産で得られる収益(丸
どり1ポンド当たり:可食処理ベース)が落ち込んでいる。10月には、前年同
月比73.4%安の3.3セント(約18円)と97年10月(2.5セント)に次いで低いも
のとなった。2002年4月以降は、中西部を中心とした干ばつの影響により、生
産コストの6割を占める飼料コストが上昇していることなどから、前年同月を
大きく下回って推移しており、収益の低下はいっそう深刻となっている。

◇図:ブロイラーの生産コストおよび純収益◇

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