◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が2002年12月に公表した2002/03年度 (9月〜翌年10月)のトウモロコシの需給予測によれば、生産量の見込みは 前年度比5.3%減の90億300万ブッシェル(約2億2,869万トン)で、前月の予測 から変更は加えられなかった。 1エーカー当たりの収量、米国全体では前年度比7.7%減の127.6ブッシェル (1ヘクタール当たり約8.0トン)と見込まれているが、天候要因などにより、 生産地域ごとの格差が大きい。11月に公表された州別予測では、コーンベルト の中でも、やや西側に位置するアイオワ州で前年度比9.6%増の160.0ブッシェ ル(同約10.0トン)とかなりの増加になったのに対し、東部に位置するインデ ィアナ州では同25%減の117.0ブッシェル(同約7.3トン)と大幅な減少が予想 されている。
一方、USDAは、中国などとの競争が厳しくなることを理由に、前月の輸出見 込み数量を2千5百万ブッシェル(約63万5千トン)下方修正したが、エタノール (燃料などに利用)向けの増加が見込まれるとして、国内需要量を3千万ブッ シェル(約76万2千トン)上方修正した。 この結果、年度末の期末在庫数量は、前月から5百万ブッシェル(約12.7万ト ン)引き下げられ、8億4千3百万ブッシェル(約2,141万トン)に修正された。 これは前年度(推計値)を47.3%、また、直近5年間の平均値を49.3%、それぞ れ下回る水準である。 ◇図:米国のトウモロコシ期末在庫の推移◇
エタノールは、今後のトウモロコシ需要拡大の鍵を握る要因の1つとされる。 今回の予測でも需要増の理由として挙げられているが、その背景として、米国 最大のガソリン消費州であるカリフォルニア州において、ガソリンへの添加が 義務付けられている酸素添加物(メチル第3級ブチルエーテル(MTBE)および エタノール)のうち、MTBEの使用が2003年末までに禁止される予定となってい ることがある。 なお、連邦議会で審議されていたエネルギー関連法案については、その上院 案に、代替燃料としてエタノールの使用量を10年間で現在の水準の2倍に引き 上げることを求める条項が含まれていたが、2002年11月に同法案の審議を翌年 まで行わないことが決定されている。
トウモロコシ価格(シカゴ相場の先物、期近価格、当月最終取引日の終値) については、干ばつなどにより、2002/03年度トウモロコシの生産減が予測さ れる中、2002年8月には前年同月比18.5%高の2ドル60セントまで値上がりした。 その後、トウモロコシの生育状況の改善が伝えられたことなどから、比較的落 ち着いた値動きとなっており、直近の2002年11月は、前年同月比15.5%高の2 ドル40セントであった。なお、USDAは、今回の需給予測で、同年度の1ブッシ ェル当たりの生産者受取価格を前月予測同の2.20〜2.60ドルと見込んでいる。
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