◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、2002/03年度第1四半期(7〜9月)の生乳生産 量は、前年同期比0.9%減の257万3千キロリットルとなった。月別に見ると生 乳生産量は、2001年9月以降、前年同月を上回って推移していたが、2002年9月 には、前年同月比1.5%減の110万7千キロリットルとなり、干ばつの影響が徐 々に出始めている。 第1四半期の生乳生産を州別に見ると、豪州の酪農の中心地であるビクトリ ア(VIC)州では、干ばつの影響により、前年同期比1.5%減の166万4千キロリ ットルとなった。その他前年同期を下回った州は、南オーストラリア(SA)で 1.6%減の17万キロリットル、タスマニア(TAS)州で9.4%減の10万キロリッ トルとなっている。また、前年同期を上回った州は、ニューサウスウェールズ (NSW)州で、前年同期比1.3%増の34万キロリットル、クインズランド(QLD) 州で2.4%増の19万5千キロリットル、西オーストラリア(WA)州で3.7%増の 10万3千キロリットルとなっている。このように州により増加している州もあ るが、豪州生産量全体の64.7%を占めるVIC州で減少したことから、豪州全体 での減少となった。 ◇図:生乳生産量と前年同期比の推移◇
現在豪州では、干ばつの影響が深刻になっているが、第1四半期における牛 乳・乳製品の生産については、まだその影響はさほど表れていない。通常干 ばつになると、牧草の生育状況が悪化し、放牧主体の豪州では飼料不足とな る。これにより、飼料価格の高騰等生産コストが増加し、農家は、牛群の縮 小を余儀なくされるため生乳生産量は減少する。ADCは12月4日、業界団体の 年次会議において、「2002/03年度の生乳生産量は、過去最高となった前年 度(1,130万キロリットル)から約100万キロリットル減少し、1千万キロリッ トルを若干上回る程度になり、前年度並みに回復するには3年程度が必要であ ろう」と発表している。
第1四半期の乳製品の生産量を品目別に見ると、バターは、前年同期比4.3 %増の3万7千トン、全粉乳は同7.6%増の4万8千トンであった。脱脂粉乳は、 輸出市場からの弱い需要により、前年同期比5.6%減の5万8千トン、チーズは、 国際価格の下落により、同7.9%減の8万2千トンとなった。 ◇図:乳製品生産量の推移(7〜9月)◇
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