◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2002年第1〜3四半期(1〜9月)に おける豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比3.4%増の54万4千トンと なった。 最大の輸出先である日本では、8月に関税の緊急措置が発動されている。発 動によって輸入の減少も予想されていたが、米国からの輸出量は8月が前年同 月比28.8%増、9月が同35.5%増と前年同月を大幅に上回り、1〜9月までの輸 出量は、前年同期比9.3%増の27万2千トンとなった(日本側の輸入の統計では、 8月は前年同月比0.5%増、9月は同17.2%増、1〜9月は前年同期比15.6%増と なっている)。 また、韓国向けについては、全輸出量の4%程度のシェアを占めるに過ぎな いものの、前年同期を74.8%上回る2万トンと、大幅な増加となった。国内生 産量の増加や、今春の豚コレラの発生や口蹄疫の再発により韓国からの輸出再 開が遠のいたことで、国内市場での出回り量が増加したにもかかわらず、所得 の伸びや為替動向などを背景に米国からの輸入を伸ばしたと見られ、総じてア ジア向け輸出が好調となっている。 ◇図:国別輸出量(1〜9月)◇
他の輸出先について見ると、第2位のメキシコ向けは、前年同期比2.8%減の 10万6千トン、またカナダ向けは同5.1%増の6万6千トンとなった。メキシコは 人口増加による需要の伸びや中流階級層の拡大などに加え、国内供給量の不足 から輸入が増加している。しかし、その供給元を米国からカナダにシフトして いると見られ、カナダからの2002年の輸入量は過去最高と推計されている。ま た、ロシアについては、前年同期比53.0%減の1万4千トンとなった。2002年通 年の全輸出量は、前年比1.8%増の72万トンと見込まれている。
2003年の輸出については、主要な輸出先である日本、メキシコ、カナダ を中心に引き続き好調とされている。しかし、メキシコや日本市場におけるカ ナダとの競合、また、ロシアやその他の市場での主にデンマークなどのEU諸国 とブラジルとの競合が見込まれている。 ロシアは、2003年の食肉輸入に関して関税の引き上げや関税割当を行うこと を計画している。豚肉については、関税を現行の15%から80%とし、34万トン を関税割当(2002年の輸入実績見込みは34万8千トン)とすることとしており、 今後のロシア向け輸出の動向が注目される。
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