イギリス食品基準庁、食品表示方法を提示
消費者に見やすい方法での任意の情報提供を提案
イギリス食品基準庁(FSA)はこのたび、食品の原産地について消費者が
理解しやすいようにするため、食品製造業者などに対する食品表示についての
手引書を発行した。
FSAによれば、この手引書は、消費者や産業界の代表者が、2001年12月から2
002年3月にかけて行われた公開検討会での結果を踏まえて作成されたものであ
る。
この手引書は、加工・処理された食品の原産地表示によって、材料が生産さ
れた場所などを誤解させないようにするため、食品製造業者や流通業者が法律
にのっとって、原産地や製品の特性などについての消費者に見やすい方法によ
る任意の情報提供を手助けすることを目的としている。
例として、デンマーク産の豚肉を用いてイギリス国内で作られるベーコンや
ハムについては、「イギリス産」とは表示すべきではなく、「デンマーク産豚
肉を使用してイギリスで製造されたベーコン(またはハム)」と、ベルギー産
牛乳を材料としてイギリス国内で生産されたバターについては、「イギリス」
とか「イギリス産」とは表示せず、「ベルギー産牛乳を使用したイギリス産バ
ター」と表示することを勧めている。
消費者の商品選択の決め手は、原産国の表示
消費者に対する調査によれば、商品選択の際、より良い原産国表示が最も優
先順位の高いものであるとの調査結果がある。また、多くの消費者は「**
(国、地域名など)製造」、「**(国、地域名など)製品」、「**(地名
など)」といった表示があれば、その製品の製造場所と原材料の原産地が同じ
であると考えているとの調査結果もある。このため、FSAは、「原材料のほと
んどが当該国で生産され、かつ、製造過程のほとんどがその製品が生産された
場所と関連する場合のみ、上記のような表現を用いることを勧めている。ただ
し、チョコレートにおけるカカオのように、その製品の生産に不可欠な材料を、
製品の生産国では生産できない製品は例外となるとしている。
また、旗やある特定の地域の象徴となるようなマーク、有名な建物などを表
示することについても消費者に誤解を与える可能性があるものとして注意を呼
びかけている。
食肉の表示は、牛の出生、肥育、と畜国を表示
食肉の表示については、根本的な変更を勧めている。これは、家畜が生まれ
た国、肥育された国、と畜された国が異なる場合が多いことから、過去におい
て、食肉の表示は消費者の混乱を招く原因となってきたためである。牛肉およ
び子牛肉についてはすでにEU規則により詳細なルールが適用されていることか
ら、FSAは牛肉および子牛肉以外の肉について、当該家畜が生まれた国、肥育
された国およびと畜された国が同一の場合のみ、単一の国を、そうでない場合
は、生まれた国、肥育された国、と畜された国を表示すべきであるとしている。
さらに、多くの消費者が食肉加工品の原材料となった食肉の原産地についての
情報を求めていることから、味付けされた肉や、食肉加工品についても原材料
の原産地表示等の情報提供を求めている。
なお、FSAは、ヨーロッパにおける食品表示の改善を強く求めているが、生
産国についての明確な表示と情報提供は、イギリスの消費者にとって重要な事
項であることから、ヨーロッパにおける改善を待たずに今回の手引書を発行し
たとしている。
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