◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)はこのほど、豪州食肉家畜生産者事業団 (MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の 結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2003年3月末時点で68万5千 頭と、前回調査時点の2002年12月末と比べ3%減となったものの、前年同期比 では5%増と依然高水準を保っている。 フィードロット飼養頭数を州別に12月末と比較してみると、全国の約5割を占 めるクインズランド(QLD)州は、2%減となったものの、同じく約4割を占め るニューサウスウエールズ(NSW)州では、3%増となった。また、ビクトリア (VIC)州や西オーストラリア(WA)州では、干ばつの影響でフィードロット の縮小、廃止があったと考えられることから、それぞれ7%減、42%の大幅減と なった。 ◇図:州別飼養頭数内訳◇
一方、仕向け先別に見ると、輸出向けが36万1千頭とフィードロット飼養頭数 全体の53%、国内向けが31万9千頭で同47%となり、12月末と比較して輸出 向け頭数は13%減、国内向け頭数は18%増となっている。MLAによると、今回 日本向け輸出頭数が初めて国内向け頭数を下回ったとしている。 ALFAでは、輸出向け頭数が減少した要因は、豪ドル高、飼料価格の上昇などに よるコスト増、日本の牛肉関税緊急措置の発動に対する懸念によるとしており、 また国内向け頭数が増加した要因は、前回調査と同様干ばつによる牧草不足の 影響から国内市場向け肉用牛がフィードロットに導入されたためとみている。 なお、フィードロットの収容可能頭数に対する利用率は、前回調査と同様全体 で77%となっている。 ◇図:仕向け先別飼養頭数内訳◇
ALFAでは、今後の見通しとして、干ばつが冬穀物の播種時期(4月〜8月)ま で続くならさらに飼料穀物価格は上昇し、そのためフィードロット産業は収益 性の面で大打撃を受けることとなる。また、と畜頭数のさらなる増加というリ スクに直面することも予想され、その場合、産業の再構築には数年を要するこ ととなるとみている。また、豪州は国土が広いため、毎年、干ばつや洪水など 気象状況によりどこかの地域で飼料穀物不足が発生することから、フィードロ ット産業の発展には飼料穀物の安定的供給の確保が不可欠である。しかし、国 内最大の穀物生産地であるWA州からのものは、QLD州などに輸送する場合コ ストがかかることなどから、厳しい検疫制度が問題となるものの、輸入穀物の 利用が必要であるとしている。
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